「日本人が知らない集団的自衛権」小川 和久
2016/07/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
安保法制が議論されていた頃の軍事の専門家による書籍です。集団的自衛権や個別自衛権の議論や、憲法解釈の扱いが説明されており、これまで「集団的自衛権はあるが、行使できない」と憲法解釈していましたが、安倍内閣は、「集団的自衛権を行使できる」と変更したのです。いろいろ議論はありますが、安保法制は中国の侵略へ対応するための法律改正だったことがわかります。安倍首相は、安保法制は今の東シナ海、南シナ海への中国の進出を見通していたのでしょう。
野党やマスコミは集団的自衛権の閣議決定を「拙速」と批判してますが、著者は安倍内閣が日本をとりまく国際状況を判断してあえて「拙速」に動いた結果として評価しています。逆に言えば、野党は、今の東シナ海、南シナ海への中国の進出がうまくいくように、日本の安保法制に反対していたのでしょうか。多くのマスコミは安保法制反対の野党を支援したように見えますが、マスコミも同類なのです。
ロシアのウクライナ侵攻によってスウェーデン、フィンランドがNATO加盟を目指しているのは、集団的自衛権により自国の安全を守るためです。集団的自衛権によって、日本の安全が守られるのは事実なのです。日本の集団自衛権には反対して、スウェーデン、フィンランドがNATO加盟には反対しないマスコミに不信感を感じました。小川さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・日本はアメリカにとって最大のロジスティクス拠点・・アメリカは海軍が戦略的に使うための燃料を日本の三カ所に備蓄・・トータルで1107万バーレル。・・弾薬のほうも・・3カ所の巨大な弾薬庫を置き、その貯蔵能力は11万9000トン(p41)
・「ポジティブリスト」は相手に日本側が「できること」、つまり手の内をさらけ出し、「どうぞ裏をかいてください。私たちはリストにあること以外はできませんから」と言外に表明しているという点で、「売国的」とさえ言えるほどの拙劣な考え方なのです(p125)
・朝日新聞の記事は、ドイツ軍の国際治安支援部隊(ISAF)への派遣を、あたかも集団的自衛権の行使であるかのように取り上げています。しかし、ISAFは・・集団安全保障活動です。特定の国への武力攻撃に対する集団的自衛権の行使ではありません。(西恭之)(p157)
・中国側の表現を借りると「核心的利益」とする領域警備法、これと補完関係に位置づけられる国境法を制定し、中国側の行動を規制できるようにしなければなりません・・ベトナム国会は2012年6月、・・ベトナム領海への外国公船などの立ち入りにはベトナム政府の許可を必要とした海洋法を成立させました(p195)
・海上自衛隊と海上保安庁に多数の同名異船が存在し、世界から「日本には国境を守る意思が存在しない」とみなされてきたという、笑えない問題があります(p197)
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
なぜいま「集団的自衛権」なのか?
第1章 集団的自衛権とはなにか?
第2章 安全保障についてゼロから考えよう
第3章 政治家と官僚の無知が自衛官を殺す
第4章 亡国の「マスコミ世論」
第5章 「歯止め」としての集団的自衛権
フレデリック・フォーサイスの警告
参考 日本政府は時代とともに憲法解釈を変えてきた
著者経歴
小川 和久(おがわ かずひさ)・・・1945年生まれ。中学卒業後、陸上自衛隊生徒教育隊に入隊、同航空学校を修了。同志社大学神学部を中退後、「日本海新聞」「週刊現代」の記者を経て、1984年に軍事アナリストとして独立。危機管理総合研究所を主宰。著書多数。
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目次
なぜいま「集団的自衛権」なのか?
第1章 集団的自衛権とはなにか?
第2章 安全保障についてゼロから考えよう
第3章 政治家と官僚の無知が自衛官を殺す
第4章 亡国の「マスコミ世論」
第5章 「歯止め」としての集団的自衛権
フレデリック・フォーサイスの警告
参考 日本政府は時代とともに憲法解釈を変えてきた
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