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「富の王国 ロスチャイルド」池内 紀

2016/02/02公開 更新
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富の王国 ロスチャイルド


【私の評価】★★☆☆☆(66点)


要約と感想レビュー

正確な情報に基づく投資

国際資本であるロスチャイルド家。ヨーロッパで銀行、鉄道で財をなした一族です。この巨大国際資本も、もとは数人のロスチャイルド家から発展したものなのです。資本を減らす人が多い中で、ロスチャイルド家は時代を先読みして投資する手腕が素晴らしい。


人より早く、正確な情報を手に入れることにより、適切な投資をしているのです。そうした正しい判断をするために、二男から五男まで息子の教育に力を入れています。


例えば、1815年のイギリス・オランダ・プロイセン連合軍とナポレオン率いるフランス軍のワーテルローの戦いでは、伝書鳩でヘブライ語の文字を使った手紙によって、誰よりも早くイギリス軍の勝利を知り、直ちにフランを売ってポンドを買って大儲けしています。


一方で、どんなに高利でもロスチャイルドはエジプト国債に手を出しませんでした。エジプト王家が金銭・借財にルーズであるかをよく知っていたからです。


・一つは、より多くの、より正確な情報を集めること。もう一つは、より早く、より確実に伝達すること(p53)

子供の教育に投資

教育専門家を雇い、どの子供にも週一度、作文提出を義務づけていたという。子供の作文を通して性格や気質を判断し、社会を見る目のレベルを測っていたのです。また、語学については、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、と母国語であるヘブライ語の五か国語を基本にして教育していました。


長男アムシェルは、ドイツのフランクフルト、二男ザロモンはオーストリアのウィーン、三男ネイサンはロンドン、四男カールはイタリアのナポリ、五男ジェームスはフランスのパリに配置されました。三男ネイサンは21歳でロンドンに商会兼銀行を開設し、資金が2万ポンドで起業したのです。


池内さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・若手バレリーナ養成の「マルタ・グラハム・ダンス社」は、設立基金と運営費をロスチャイルド財団によっている。「古代インド芸術研究所」も場合も同様・・(p11)


・ロンドン・ロスチャイルドの総帥エヴリン・ロバートとそこをとび出して投資会社を作ったジェイコブの不仲は、イギリス経済界でよく知られている・・「われわれは意見が一致しないという点で、きちんと一致している」(p17)


・ロスチャイルドとロシアの石油業者は市場の拡大につとめた・・ロスチャイルドはオランダ資本と提携して、オランダ王国の植民地であったインドネシアで採掘を始めた。このとき生まれた会社が「ロイヤル・ダッチ(Royal Dutch)」である。(p91)


・将来の成長を見てとると、競争相手が少ない間に集中して投資し、権利を独占する。(p96)


・三代目の二男ナタニエルは1853年、ボルドー・メドック地区のシャトー・ムートンを手に入れた。・・パリ・ロスチャイルド当主ジェームスは、・・1868年、同じメドック地区のシャトー・ラフィットを買い取った(p106)


富の王国 ロスチャイルド
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池内 紀
東洋経済新報社
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)


目次

第1章 ロスチャイルドと現代
第2章 富の始まり
第3章 富の拡充
第4章 富の使い方
第5章 富の行方
第6章 「ロスチャイルド」という課題



著者経歴

池内紀(いけうち おさむ)・・・1940年兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者・エッセイスト。主な著訳書:『諷刺の文学』(亀井勝一郎賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)。ゲーテ『ファウスト』(毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(日本翻訳文化賞)ほか


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