「統計データはおもしろい!-相関図でわかる経済・文化・世相・社会情勢のウラ側」本川裕
2015/09/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
データを図表を見ると一発で理解できる!と実感できる一冊です。100のマスコミのニュースや報道を読むより、データを図表にして分析してみれば、より真実に近づくことができるのでしょう。例えば、テレビを見ていると凶悪犯罪が日本中で起きているように感じますが、日本は圧倒的に安全なのです。
面白いのは、日本の格差が拡大しているというデータと主張に疑問を呈しているところでしょう。確かにマスコミも日本を「格差社会」と表現していますし、OECDが2008年に発表した国別の相対的貧困率(所得の分布における中央値の50%に満たない人々の割合)も米国並みに高いのです。著者の見立ては、日本は年功序列で年齢に比例で収入が増えてくため、見かけの相対的貧困率が高くなっているだけなのです。
所得格差の指標であるジニ係数、平均寿命などのデータは、日本は比較的平等な社会であるというデータが多いのです。それにも拘らず、日本の貧困や格差を問題提起したいマスコミや有識者が、OECDの相対的貧困率のデータだけを提示するのは、不当な引用だと断罪しているのです。
データも大事ですが、データをいかに多角的に分析し、現実を理解するのかが大事なのだと思いました。なお、日本人のセックス頻度が年45回と世界最低なのにびっくりしました。ヨーロッパの人たちは性豪が多いのですね。
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この本で私が共感した名言
・ラテンアメリカとアフリカでは他殺の方向に向かい、ユーラシア大陸などその他の地域では自殺が高まる方向に向かう(p41)
・2009年度の日本の国民負担率は38.9%となっています。これは、米国の34.7%と並んで低い水準です。一方、ヨーロッパ諸国はドイツの52.0%、フランスの62.4%、スウェーデンの66.2%と高くなっています(p46)
・高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイトが高い国ほど出生率も高いという傾向が見られます(p118)
・貧富の格差(上位10%の富裕層の所得が下位10%の貧困層の何倍か)は、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコといったラテンアメリカ諸国(および南ア、ケニア)が20~60倍と大きいのが目立っています(p181)
・安全なのに"不安"な日本(p194)
・貧困が寿命に直結する米国、しない日本・・米国各州の健康保険カバー率と平均寿命の相関図(p200)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
典型的な相関図
散布図によるグルーピング
散布図のさまざまな使い方
バラツキを比較する
相関度の高くない相関図
相関を掘り下げる
男女の相関
反転する相関
片相関
意味のある無相関
著者経歴
本川裕(ほんかわ ゆたか)・・・1951年、神奈川県生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。財団法人国民経済研究協会常務理事研究部長を経て、現在はアルファ社会科学(株)主席研究員、(株)社会構想研究所主幹研究員、(有)地域情報設計研究所研究顧問、立教大学兼任講師。多忙なかたわら「社会実情データ図録」を運営し、公開された統計数字など客観的なデータを、社会経済の実情としてグラフと解説で分かりやすく公開している
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