「円高・デフレが日本を救う」小幡績
2015/09/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
アベノミクスという金融緩和による景気刺激に反対する一冊です。著者は大蔵省を7年で辞めたという変わり種です。著者は日本経済がバブル崩壊による金融危機というどん底からの回復に20年もかかったのは、経済の構造変化が行われなかったからとしています。増税や金融引締めが経済を強くするという考え方は、金輸出解禁を断行した井上準之助を思い出せます。
米国は、2%をインフレターゲットとしています。失業率が十分に下がれば、インフレ率が2%に達していなくとも、異常事態の金融緩和を解消し、正常化に向かい始めるだろうと著者が予測しています。一方、日本は借金が多いので、公定歩合を上げることができないだろうというのが著者の主張なのです。
もちろん金融緩和が行き過ぎれば、ハイパーインフレになることは誰でも知っています。そのバランスが難しいのだと思いますが、感覚的な主張ばかりで判断が難しい印象でした。正しいのかもしれませんが、説得力がないのです。著者が井上準之助だとすれば、安倍晋三は高橋是清なのでしょう。小幡さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・公共工事に限らず、一時しのぎの景気対策の仕事をつくることは、長期の成長機会を失わせることになるのである(p53)
・デフレスパイラルなどというものは存在しない。将来への悲観論がすべてで、これが需要を弱くした・・(p62)
・政策ビジョンの構造改革・・マクロ経済政策偏重からの脱却、景気対策からの脱却、国全体での成長戦略からの脱却である。デフレ脱却は重要ではない(p140)
【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
第1章 政治報道に隠された真実
第2章 海外報道に隠された真実
第3章 社会報道に隠された真実
第4章 マスメディアに潜む影
著者経歴
小幡績(おばた せき)・・・1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒。大蔵省(現財務省)入省、1999年退職。2000年IMFサマーインターン。2001年~2003年に一橋大学経済研究所専任講師。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用委員。
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