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【書評】「よいこの君主論」架神 恭介、辰巳 一世

2014/12/15公開 更新
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よいこの君主論 (ちくま文庫)


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー


小学生の主導権争い

君主論といえば、著者は中世イタリア、フィレンツェ共和国の外交官マキャベリです。君主としてのあるべき姿を示したこの名著の内容は、現代社会でも通用するものです。小学生の主導権争いを分析しながら、君主論の本質を学びましょう。


確かに小学校では、それぞれ仲良しグループが勢力争いをしていました。そして、そのグループの中でも、主導権争いがありました。最終的にはいろいろな遊びを通じて、だれがリーダーシップをとっていくのか、なんとなく決まっていったように思います。


自分の配下の兵士が戦争のときにちゃんと君主の言うことを聞いて動くように、日頃から兵士を統御する訓練をしなきゃいけないんだ(p158)

理屈と強い意思を示す

そうしたリーダーシップをとっていくためには、決して軽蔑されてはなりません。軽薄で優柔不断で無気力な態度は、単純に批判され、軽蔑されます。


軽蔑されないためには、その逆をやればいいのです。もっともな理屈で思慮深さを示し、決断したらそれを断行する強い意思を見せればいいのです。


ただ、強く頼れるリーダーが望ましいとしても、恨みは買わないことが重要です。恨まれない程度に、怖いけれど頼りになるリーダーを目指すのです。


軽蔑を逃れるには、軽薄で優柔不断で無気力な態度を見せなければ大丈夫。(p217)

新しいことは危険

会社でも同じだと思いました。敵を作ってはなりませんが、軽蔑されては仕事はできないのです。今更ながら注意したいと思います。


また、新しいことを始める時には必ず危険が伴うというのも、いつの時代同じなのですね。新しいことは、反発を受けるだろうし、失敗するかもしれないのです。


架神さん、辰巳さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・極悪非道で平民を害するのは一度きりで終わるべきだけど、恩恵を施すときは時間をかけてゆっくり(p92)


・結局、傭兵も援軍も使うべきではないんだ。自軍の軍備を増強するのが一番なんだよ(p151)


・その行動が美徳であるか悪徳であるかはさほどの問題ではないんだ・・・もし、ひろしくんが美徳のみを求めていたならば、彼は夏休みの宿題をコツコツやろうとしただろうし、そして失敗しただろうね(p170)


・『気前が良い』という評判を保とうとするくらいなら、『あいつはケチだ』と蔑まれた方が遥かにマシなんだよ。・・いくら歓心を買うためとはいえ、配下ごときに自分のプリンを分け与えるなんて愚行を行ったのだから(p179)


・問題の起こっていない一文字先生の時から対策を整えておくのが大切なんだ・・・人間というものは順風満帆な時には、嵐が起こることを想像できないものなんだ(p281)


よいこの君主論 (ちくま文庫)
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架神 恭介 辰巳 一世
筑摩書房
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【私の評価】★★★★★(93点)


目次


第1章 君主政体の種類
第2章 世襲の君主政体を統治する方法
第3章 新しく獲得した領地の統治法
第4章 支配地での反乱
第5章 自己の軍備と力量で君主となった場合
第6章 他者の軍備と運命で君主となった場合
第7章 極悪非道の正しい使い方
第8章 市民による君主政体について
第9章 籠城について
第10章 聖職者による君主政体
第11章 傭兵について
第12章 援軍について
第13章 君主が行うべき軍事訓練
第14章 君主が褒められたり貶されたりすることについて
第15章 気前の良さとケチ
第16章 怖れられることと慕われること
第17章 信義を守る必要はあるのか?
第18章 軽蔑と憎悪を逃れるにはどうすれば良いか
第19章 市民を歩兵にすることについて
第20章 分断工作について
第21章 同盟と中立
第22章 有能な側近から適切な助言を得るためには
第23章 運命に打ち勝つには
エピローグ 5年3組統一



著者経歴


架神恭介(かがみ きょうすけ)・・・1980年生まれ。広島県出身。早稲田大学第一文学部卒。作家、フリーライター


辰巳一世(たつみ いっせい)・・・1981年生まれ。静岡県出身。横浜市立大学大学院国際文化研究科修了。2007年、メーカーに就職


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