「ビッグイシューの挑戦」佐野 章二
2014/06/01公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
■仙台駅前でも売っている雑誌「ビッグイシュー」。
どんな仕組みになっているんだろうな、
と思っていましたが、この本でわかりました。
月2回発行で販売部数四万部。
一部350円で、180円が
販売者であるホームレスの取り分。
ホームレスの販売者が、この雑誌を売ることで、
泊まる場所を確保できるようにする。
最終的には、ホームレスが就職できるように
支援活動をしているのです。
・まず始めに10冊の雑誌を無料で支給される。
10冊をすべてを売り切れば、2000円の収入になる。
その2000円を元手に、一冊90円で雑誌を仕入れる。
それを再び定価の200円で販売すれば、
一冊につき110円の収入が販売者のものとなる(p13)
(現在は350円のうち180円が販売者のもの)
■もともとはロンドンで、
仕事がないホームレスに「雑誌販売」の仕事を提供する
というコンセプトで始まったのです。
チャリティではなくビジネスで。
日本版ビッグイシューの立ち上げは、
シチズンワークスの水越洋子さんが
「やりたい!」と声を上げたようです。
こうした人助け活動は、
「ビッグイシュー」の購読者の七割が女性というように、
女性の興味を引くのでしょうか。
・雑誌「ビッグイシュー」が、イギリスのロンドンで
創刊されたのは1991年のことだった。
創始者はゴードン・ロディックとジョン・バード(p17)
■ロサンゼルスでの「ビッグイシュー」は、
事業として失敗しているので、
リスクは高かったと思います。
日本でこうしたビジネスを立ち上げた
著者もすごいですが、
ロンドンで最初に立ち上げた人はもっとすごい。
こうした冒険家精神、チャリティ精神は、
欧米のほうに一日の長があると感じました。
佐野さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・大阪であれば、いやるる「ドヤ」があるので、
一泊一畳半の部屋なら500円で泊まることができる。・・・
1000円出せば三畳の部屋が確保でき・・・
1500円くらいからネットカフェがある(p16)
・欧米における「ホームレス」の定義は、
「固定した住居を持たない人、または、
それを失うおそれのある人」・・・
ネットカフェで寝泊まりしている人も・・
すべてが「ホームレス」となる・・(p130)
・ホームレスの人たちの仕事の大半は廃品回収業である。
アルミ缶を集めたり、古紙回収をしたり。
収集作業は夜、街が寝静まった頃に開始される(p135)
・一ヵ月以上販売した販売者や約四割である・・・
それが高いか低いかは別として、僕らの方針は常に
「来るものは拒まず、去るものは追わず」である(p152)
・最高記録は、今でも誰にも破られていない・・207冊!・・
通常、一日の売り上げ平均は20冊から25冊なのだ(p158)
・メル・ヤングは、僕らに「一日16時間、週に七日働け!」と
指導したが、本家ロンドン版のジョン・バードは
しっかりと休憩を要求する愛すべき男でもあった・・・
彼らは朝食と昼食の合間には「十時のお茶」で休憩し、
午後は午後で「三時のお茶」を取ることを
正当な権利だと思っている(p226)
・毎年1000万円単位での損失を出していった・・・
創刊号が四万部、二号、三号も、五万部売れた・・・
八万部に達したのだ。ところが、それがピークだった。
2004年8月には四万部にまで落ち込んでしまったのだ・・
2007年10月、僕は一冊300円への値上げを了承した(p194)
・創刊後四年間、「ビッグイシュー」は市民ボランティア
という形で、金銭的な支援を一般の人々から受け付けた。
一年につき一人一口五万円の「市民パトロン制度」には、
100人が登録し、一人一口一万五千円の発行継続寄付には
400人の人が参加してくれた(p270)
・「若年層のホームレス」は、このまま放っておけば、
遠くない将来、自殺かクスリか犯罪のいずれかに
取り込まれていってしまうのでは、と僕は不安でたまらない。
すでに欧米ではそうなってしまっているように。(p186)
【私の評価】★★★★☆(83点)
■目次
第1章 「百パーセント失敗する」事業への挑戦
第2章 ビジネスパートナーはホームレス
第3章 雲をもつかむ「ビッグイシュー」
第4章 「いざ、出陣!」
第5章 「ホープレス」から「ホームレス」へ
第6章 若年化するホームレス
第7章 ホームレスに歌とサッカーを!
第8章 NPOか社会的企業か
第9章 これからの「ビッグイシュー」
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