「命のビザを繋いだ男」山田 純大
2014/05/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
■1940年、ナチスに追われたユダヤ難民が
リトアニア日本領事館にビザを求めてきました。
領事代理の杉原千畝(ちうね)は、
日本国外務省の指令を無視して、
日本通過のビザを発給します。
しかし、日本の滞在日数は10日程度。
日本に到着したユダヤ人は、
10日間で行先が決まらなければ、
強制送還となる可能性がありました。
それを救ったのが、
小辻節三(せつぞう)なのです。
・後年小辻はユダヤ難民を助けるにあたって、「義を見てなさざるは勇なきなり」という言葉を自らの行動規範にしている(p32)
■若き頃の小辻節三は、神学を学び、
旧約聖書を学びます。
さらに、アメリカへ留学し、
ユダヤ教の律法(タルムード)を学び、
ヘブライ語学んだ。
帰国後は、ヘブライ語、宗教学を
教える道を探りましたが、
大学や宗教関係者からの圧力を受け挫折。
その後、
満州に移りユダヤ人の受け入れを手伝った後、
鎌倉にいるときに、ユダヤ人難民が
神戸に押し寄せていることを知るのです。
小辻は、多額の資金をかき集め、
警察や役人を接待し、滞在延長を認めさせ、
受入先を探しました。
・あの時、小辻が日本でユダヤ難民たちを助けなかったら、今、彼の目の前に座る子供達はこの世に存在していなかったかもしれないのだ(p177)
■小辻は、後年、ユダヤ教に改宗し、
エルサレムの地に埋葬されました。
こんな日本人がいたんだ。
こうした能力と行動力を持った人が
存在するということが日本の強さなのかも
しれないと感じました。
山田さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・西洋に於けるユダヤ問題は一寸我々日本人には分からない感情問題が入っているということを知っておく必要があると思います・・・何か行き詰るとユダヤ人を槍玉に挙げて、社会民心の不平をその方向に向けて行くという常套手段が何処の国でも採られやすいのであります。(小辻)(p123)
・ナチスはドイツ民族以外の存在は認めないのです。ナチスはユダヤ人を地球上から抹殺したら、次はあなたたち日本人を抹殺しようとするんです。そのことに何故気づこうとしないのですか?(p112)
・小辻は、ユダヤ人のことを擁護するような本(『ユダヤ民族の姿」目黒書店刊)を書いて、反ナチスを訴え、日本中を講演して廻ったんだ。まったくクレイジーだと思わないか?戦時中のことだよ(ラビ・トケイヤー)(p22)
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
少年期、青春期の小辻
ナチスによるユダヤ人迫害
奇想天外な『河豚計画』
満州へ
小辻と松岡洋右
杉原千畝の『命のビザ』
日本にやってきたユダヤ難民
ビザ延長のための秘策
迫るナチスの影
神戸に残ったユダヤ人
反ユダヤとの戦い
ナチスドイツの崩壊
帰国
小辻を支えた妻・美禰子
改宗の旅へ
小辻の死
エルサレムへ
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読んでいただきありがとうございました!
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