「アメリカはいかにして日本を追い詰めたか」ジェフリー・レコード
2014/04/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
■2009年に発表された国防政策の専門家である空軍大学教官
ジェフリー・レコード氏の陸軍戦略研究所レポート
「日本の戦争決断1941年:その今日的教訓」です。
現代においても、アメリカは経済制裁という
手段を用いて、敵国に圧力をかけています。
「オレは強いんだから、圧力をかければ屈するだろう」
簡単なロジックですね。
・ディーン・アチソンは1941年には国務次官補であり、
経済問題を担当していた。彼は真珠湾攻撃以前に
次のように語っていた。「わが国を攻撃すれば、
日本にとって破滅的な結果になることは、
少し頭を使えばどんな日本人にでもわかることだ」(p21)
■日本人は、アメリカを攻撃すれば、
破滅することがわかっていた。
「座して死を待つよりアメリカを討つ」
「座して死を待つより・・・」というのは、
日本人らしい思考です。
「いや、死なないって・・」と突っ込む人は
いなかったのですね。
・バジル・ヘンリーリデル=ハート卿は次のように回想している。
「どのような国であれ、ああいった屈辱的な条件を呑み、
国家としての面子をつぶされる事態を甘んじて受け入れる
ことはない。日本という国家なら、なおさらである(p25)
■今さらながらですが、日本が真珠湾を攻撃せず、
オランダ領インドネシアの石油だけを狙っていれば、
アメリカは参戦することができなかった。
アメリカはそのシナリオを
非常に恐れていたことがわかります。
アメリカが参戦するためには、
どうしても日本がアメリカに直接攻撃しなくては
ならなかったのです。
どうして最悪の選択を日本が選ぶことになったのか。
挑発に乗ってしまった日本の歴史を
しっかり覚えておく必要があるのでしょう。
・ヨーロッパに目をやれば、ドイツがイギリス本土を
攻撃しているのである。本土攻撃に対してさえも
アメリカはイギリスの側に立って参戦できないでいた。
ヨーロッパ帝国主義の象徴であるアジアの植民地を
日本が攻撃したとしても、アメリカが参戦できるはずが
ないではないか。(p170)
■日本にもアメリカとの戦争を避けながら、
石油を確保するる選択肢があった
ことがわかりました。
挑発する側は、弱みがあるから挑発するのです。
相手の気持ちに立ってみれば、
一番いいのは、挑発を無視すること。
尖閣諸島でもあらゆる手段を持って、
挑発してくるでしょうが、
勝負はそれを無視できるかどうかだと思います。
レコードさん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・1941年に日本がアメリカとの戦いを決意した動機は、
一つには日本の誇りの問題であり、もう一つは、
アメリカによってもたらされた経済の破綻であった(p24)
・1940年十月初旬、ルーズベルトはハル国務長官と
サムナー・ウェルズ国務次官に対して、石油禁輸をすれば
日本が蘭印を攻撃する可能性があることを語っている(p46)
・日本はアメリカとの戦いを決意しようが、
アメリカの要求に屈しようが、どちらの選択をしても
国家的破滅となることは避けようがなかった。(p52)
・ホプキンスは真珠湾攻撃以前の一年前に・・・
「日本がわが国との衝突を避ける戦術をとったらどうするか、
彼らがフィリピンやハワイを攻撃してこなかったらどうするか、
タイ、仏印あるいは中国内陸部への侵攻だけであったらどうするか、
マレー海峡の攻撃まででやめてしまったらどうするか。
こうしたシナリオが大統領の悩みであった」と述べている(p92)
・ドイツはソビエトに侵攻し、日本は真珠湾を攻撃した・・・
ドイツと日本が歴史上まれに見る大失策を犯さなければ、
イギリスはヨーロッパ列強の地位を一気に失い、場合に
よってはドイツによって国土を蹂躙されていた可能性が高い(p30)
・日本の経済は国際貿易に大きく依存していた。
そうした国に対しての経済制裁は軍事攻撃と
同じ意味を持つのである。
見かけ上は軍事攻撃ほどドラマチックではないが、
それは挑発であり、激しい反発は免れない(p113)
・アメリカ世論は、ルーズベルトが心にもないことを
言わざるを得ないほどに、ヨーロッパの戦争に
巻き込まれることを嫌っていたのである・・・
イギリス・フランス側に立って対ドイツ戦に参戦すべし
と主張する者はわずかに2.5%(p158)
草思社
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
■目次
序章 日米開戦のプロセスを検証する
1章 真珠湾攻撃とは何だったのか
2章 日本の侵略とアメリカの反応―一九三七‐一九四一年
3章 日本の判断の基礎となった仮定
4章 日本の決断
5章 失敗したルーズベルトの日本牽制
6章 経済的な締めつけの代償
終章 汲みとるべき七つの教訓
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