「100歳、ずっと必要とされる人」福井福太郎、広野彩子
2013/09/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
■100歳にしてサラリーマンの福井福太郎さんの一冊です。
福井福太郎さんは、宝くじ販売委託会社で
顧問として働いています。
通勤時間は電車を乗り継いで1時間です。
・平日の僕の朝は早いのです。
朝4時半には起きて、5時には朝食をいただきます。・・・
僕は朝が早いからね、夜の9時には寝てしまうんだ。(p21)
■100歳ともなると、戦争を経験しています。
慶応大学を卒業した1936年は大不況で
生きるだけで精一杯。
その後、徴兵されて満州と日本を
行ったり来たりしていました。
戦争とは殺さなければ殺されるという状況ですから、
人の精神をおかしくしてしまうという。
頭を麻痺させないと、
戦争を執行することはできないのでしょう。
・戦争は、怖いよ。戦争をすればね、戦場へ行けば
人はもう、普通の精神状態じゃなくなってしまうから。
逆に言えば、そうでないと戦争なんかできないんだと思う。(p70)
■表紙の笑顔には、100歳という経験からくる
人生を達観した穏やかな福井さんの心が見てとれました。
私もこうしたおじいさんになりたいものです。
福井さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・僕が助手になったころから、日本は、
ものすごい勢いで戦争に突き進んでいったんだ。・・
当時は、近衛文麿首相が「国民精神総動員」を唱えて・・・
金品も調べ上げられて、没収されたりした(p65)
・実際、米国に行った人はみんな、国力の差をわかっていた。
しかし、日本にだけいたえらい人は、
「神風が吹いて勝つから大丈夫だ」と本気で信じていて、
僕たちにもはっきり言っていました。(p69)
・まずね、命っていうのはね、自分のものじゃない。
あくまで天から、宇宙から与えられたものなんだ。
そして死ぬっていうのはね、人間が心をなくすことなんだ。
心をなくして、体だけしかない「もの」になるんだよ。(p81)
・当たり前のことだけれど、みんながみんな、
えらくなれるわけじゃないでしょう。
それはそれで仕方がないですよ。
運や巡り合わせもあるし、人にはそれぞれ、
生まれもった器というものがあるでしょうからね。(p99)
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
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■目次
序章 :辻堂から神田まで、僕の毎日。
第1章:昔えらかったとか、えらくなかったとか、どうでもいいことなんです。
第2章:100歳まで働けるなんて、ありがたいよ。
第3章:働き続けるのは、それが本能だからだよ。
第4章:差別も軍隊生活も経験した。でも、不幸だなんて思ったことはないよ。
第5章:死んだら宇宙の一部になれるんじゃないかな。
第6章:人間、人のために生きなきゃ。
第7章:日課は、新聞を読み、辞書を引くこと。長生きの秘訣? そんなものないよ。
第8章:資本主義だって、永遠には続かないよ。
第9章:もう死ぬことなんて、あまり考えなくなったよ。
読んでいただきありがとうございました!
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