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「零戦 その誕生と栄光の記録」堀越 二郎

2013/09/13公開 更新
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零戦 その誕生と栄光の記録 (角川文庫)

【私の評価】★★★☆☆(77点)


■映画「風立ちぬ」を見ましたので、
 手に取った堀越 二郎さんの一冊です。


 ゼロ戦の主任設計者として、
 ゼロ戦が生まれるまでの
 経緯を教えてくれます。


 軍の計画要求書は、
 無謀なほど過大な要求だったようです。


・大きな仕事をなしとげるためには、愉悦よりも苦労と
 心配のほうがはるかに強く長い
ものであることを言いたい。
 そして、そのあいまに訪れる、つかのまの喜びこそ、
 何ものにもかえがたい生きがいを人に与えてくれる(p5)


■この要求を満たすために、
 堀越さんはいくつもの決断をしています。


 他社のエンジンを使うこと。
 最新のジュラルミンを使うこと。
 可変角プロペラ翼を使うこと。
 引込め脚を使うこと。


 その他、多くのアイデアを
 つぎ込んでおり、
 堀越さんでなければ、
 ゼロ戦は作れなかったと感じました。


・航続力の増大のために・・・従来から物はあったのに
 活用されていなかった落下式増設燃料タンクを、
 抵抗の少ない、しかも落下の容易なものとし、
 これでちょうど往路をまかなうことにする(p73)


■常に挑戦しつづける姿勢に、
 日本人技術者らしさを感じました。


 昔はゼロ戦。
 今は自動車、ガスタービンでしょうか。


 今も技術者は戦っているのです。


 堀越さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・飛行機設計要領書によれば、この安全率は、
 機種、力のかかり方、部材の性質などにたよらず
 1.8、つまり、何回うけてもよい最大の力の
 1.8倍以下では破損してはならないと定められていた。(p60)


・ふつう先の細くなった翼では、
 翼端に失速という現象が起きやすく、
 機が不安定になる。これを防ぐために、
 翼端をわずかに捩り下げるという工夫をした(p71)


・19年12月のはじめ朝日新聞社大阪本社出版局が
 『神風特攻隊』という本を出版するについて、
 各界十人の人の中に零戦の主任設計者である私を入れて、
 めいめい特攻隊をたたえる短文を書いてほしいという
 依頼があって書いたものである・・(p221)


・戦争のためとはいえ、ほんとうになすべきことを
 なしていれば、あるいは特攻隊というような非常な手段に
 訴えなくてもよかったのではないかという疑問だった(p222)


零戦 その誕生と栄光の記録 (角川文庫)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)

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■目次

序章 昭和十二年十月六日
第1章 新戦闘機への模索
第2章 不可能への挑戦
第3章 試験飛行
第4章 第一の犠牲
第5章 初陣
第6章 第二の犠牲
第7章 太平洋上に敵なし
終章 昭和二十年八月十五日


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