「無印良品は、仕組みが9割」松井 忠三
2013/09/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
赤字38億円からV字回復した無印良品の松井社長からの改善報告です。会社を変えるためには、現場が変わらなければなりません。現場を変えるための道具が、マニュアルなのです。MUJIGRAMと呼ばれる業務基準書も、目的は「業務を標準化する」ことだという。それまでは、店長が思い思いに店をつくり、スタッフの指導もしていたので、店ごとにバラつきがあったというのです。
それまでの無印良品は、ノウハウは個人伝承に任されていました。お店のディスプレーは担当者まかせ。商品の開発、発注も担当者まかせ。担当者しだいで現場が変わっていったのです。その結果が、大量の売れない商品の在庫となり、赤字となってしまったのです。
・店の"顔"となるディスプレイ・・それこそ「センスや経験を問われる作業」に思えますが、無印良品ではこれもマニュアル化しています(p16)
どこの店でも同じ知識とスキルを身につけてもらうために、「どう教えるか」を明文化し「教えるためのテキスト」が準備されているという。商品発注も、新商品を投入して三週間後に販売動向を確認し、計画の30%売れていれば増産し、そうでなければデザインを変更して素材を使いきるようにマニュアルで決めているという。
「こうしたほうが、いいのに」を集め、「それぐらい、口でいえばわかるのでは?」と思われるようなことまで明文化することで、現場が変わり、業績が変わるのです。
このようにノウハウを共有化する。だれでもできるようにする。これから日本企業にとって強化していくべき点を具体的に示した良書だと思いました。私も仕事でマニュアルを見直していきます。松井さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・当時のスローガンは「実行95パーセント、計画5パーセント」社内で激しく議論を戦わせただけで、仕事をした気になっていませんか?(p34)
・大企業病に陥ると、現場とリーダーの意識が乖離していきます。それを埋めるには、リーダーが現場に出向いてスタッフの声を聞くしかありません。(p48)
・提案書のハンコは「三つまで」・・・無印良品においても、かつて七つから八つのハンコが必要な時代がありました。(p124)
・「会議では必ずデッドラインを決定するところまでやる」「会議のための資料作成に時間をかけない」(p129)
・私が社長になってから、主要幹部は三年間固定することにしました(p140)
・新規出店のような大型の案件でも、提案書はA4一枚です(p190)
・その案件に対して影響力のある役員などへの根回しは、とくに重視され、事前に案件を内諾してもらうように働きかけていました。こういう風潮は官僚主義の最たるものです(p195)
角川書店
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【私の評価】★★★★★(94点)
目次
はじめに
序章なぜ無印良品には"2000ページのマニュアル"があるのか
1章売上とモチベーションが「V字回復する」仕組み
2章決まったことを、決まったとおり、キチンとやる
3章会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」
4章この仕組みで「生産性を3倍にできる」
5章自分の仕事を「仕組み化する力」をつくろう
おわりに
著者経歴
松井忠三(まつい ただみつ)・・・1949年、静岡県生まれ。株式会社良品計画会長。73年、東京教育大学(現・筑波大学)体育学部卒業後、西友ストアー(現・西友)入社。92年良品計画へ。総務人事部長、無印良品事業部長を経て、2001年社長に就任。赤字状態の組織を"風土"から改革し、業績のV字回復・右肩上がりの成長に向け尽力。07年には過去最高売上高(当時)となる1620億円を達成した。08年より現職に就き、組織の「仕組みづくり」を継続している
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