「最強の農家のつくり方」木内 博一
2012/12/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
千葉で「和郷園」という農家集団を率いる木内さんの一冊です。木内さんの目指すものは、農家の農協からの「自立」です。「自立」のためには、農家が経済的に豊かになるための知恵と工夫が必要です。
木内さんが取り組んでいるのは、商品に付加価値をつけ、自ら販路を拡大することです。農協に出荷して、農協に販売してもらっている状況では二束三文で買い叩かれるのが現状なのです。
・和郷園に入る前は、出荷先は農協が100%でした・・和郷園では木内代表が「自立」を目指していますので・・・和郷園経由でスーパー、加工場、生協など、いろいろな組織に販売先がどんどん広がっています(p178)
面白いところでは、野菜のカット野菜工場でしょうか。スーパーで売られている野菜は、きれいに形がそろっていますが、その陰で規格外として捨てられている野菜が多いのです。著者はその捨てられている規格外の野菜をカットして、パックにして販売しています。
フルーツも形の良いものはプレゼント用として販売し、形が悪かったり、古くなったらカットフルーツとして売り、更に古くなったらフルーツ生ジュースとして販売するのと似ています。
・私たちは規格外に分類された各野菜を、切ってから出荷するためのカット野菜工場(カットセンター)をつくった。(p90)
これ以外にも、野菜の冷凍工場を作ったり、野菜クズで堆肥を作ったり、創意工夫がすごいですね。こうした工夫をしていける農家が、生き残るということなのでしょう。
農業は人間が生きてくために大切なものですので、農家にはがっつり稼いでいただきたいものです。木内さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・98円くらいの価格で売られる大根の場合は、ほとんどが、市場から入荷した時点で葉っぱは切り落とされ、むき出しで売られている。そこで、私たちは「158円の大根」を提案する。158円の大根には、葉っぱをつけたままにして、一本ずつビニールの袋に入れて、きれいにラッピング(p76)
・規格外のものでも、大きさが違っていたり形が曲がっていたりするだけで、味は同じだし、安全性も同じである・・・実際に店頭に並べてみると、見事なほどに、形のきれいなものから順番に売れていく(p66)
・安売り競争が、農業を荒廃への道へと追い込み、いっそう食料自給率を下げている・・・大豆はこの先もずっと輸入に頼らざるをえなくなる。(p44)
・ホウレン草は冬が旬の作物だが、・・・夏にもホウレン草をつくろうとして必死になって取り組んでいる・・・旬の時期に穫れた美味しい野菜を、そのまま冷凍にしてしまえばいい・・・冷凍工場をつくった(p86)
・農業の場合は、一日休むと、その分の仕事ができなくなり、収入減につながります。サラリーマンの人も休みにくいでしょうけれど、農業はそれ以上に休みにくいんですよ(p160)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
目次
第1章 なぜいま「農業ブーム」か
第2章 食のデフレは終わらない
第3章 和郷園のビジネスモデル
第4章 農業で日本は蘇る
終章 和郷園加盟の"七人の侍"農家、かく語りき
著者経歴
木内博一(きうち ひろかず)・・・ 1967年、香取市出身。1989年、農林水産省農業者大学校卒業。同年、家業の木内農園に就農。1991年、有志4名とともに野菜の産直(産地直送)を開始。96年、有限会社「和郷」を設立、代表取締役社長。1998年、農事組合法人「和郷園」を設立、代表理事。2005年、有限会社「和郷」は株式会社「和郷」に組織変更、代表取締役社長に就任。
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