「壁を壊す」吉川 廣和
2011/07/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
■DOWAホールディングス会長の吉川さんの
一冊です。
業績を見ると吉川さんの改革が
始まった2002年くらいから
経常利益が10倍くらいまでに上昇しています。
その後、2009年のリーマンショックの影響で
赤字となっていますが、現在は黒字を維持。
現状維持だったら、
リーマンショックを
生き抜けなかったかもしれません。
・2000年~02年までの第一期計画(構造改革Ⅰ)では、
非コア事業部門の売却・撤退を積極的に実施しながら、
主にコア事業への投資や買収を進めていった。(p26)
■この本を読んで驚くのは、
吉川さんが思い切った施策を
どんどん行なっているところです。
黒字でもリストラする。
当然、社内からは大反対。
しかし、今やらなければ、
会社がダメになる、と
説得するのです。
どのような抵抗があっても、
批判があっても、
やり抜く力があるのです。
逆に考えると、
こうした過激な人を抜擢した人のほうが、
すごい人なのかもしれません。
・退職者に対しては、就職斡旋会社と契約し、
再就職の支援を全額会社負担で行う制度を整えた。
ただし、厳禁にしたのが、関連会社への
退職者の押しつけだ。(p57)
■不良資産の売却、
不良事業からの撤退、売却、
本社を三分の一、
机はフリーアドレス(どこでも座れる)
役員室、秘書室の廃止、
天下りの禁止、
と、大きいことから小さいこと
までよくやったものです。
一度お会いしたくなりました。
吉川さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・不良資産の整理には勇気がいる。
会計上は損失が発生するからだ。
しかし、これはもう覚悟するしかない。
そのかわり、不良債権を圧縮すれば赤字部門は減っていくし、
何よりキャッシュが入ってくる。(p70)
・第一の基準は、マーケットがあるか、あるいは
将来に向けて、マーケットの成長が期待できるか・・・
第二の基準は、当社に競争力があるか・・・
第三の基準は、社員にやる気があるかどうか。(p74)
・以前東京・丸の内の鉄鋼ビルにいたとき、
私はフロアにある壁という壁を徹底的に
破壊した前科を持っている(p18)
・本社の人員(200人余り)を三分の一に削減すると
内外に発表した・・・社内は混乱した。しかし、
実際にオフィススペースを削られてしまった以上、
人員も整理せざるを得ない。結局、退職や生産部門への
配置転換によって、減ったのは三分の一。(p106)
・私は、正論としていい続けていることがある。
書類はなければないほどいい。
そして書類を作れば作るほど、
その人は仕事をしていないと。(p114)
・役職が人を育て、苦悩から人は育つ・・・
47歳の取締役も誕生した。
40歳代の執行役員も生まれた。(p129)
・「優秀な者ほど、よく叱る」ことだ。
誰もができると認める者が叱られると、
組織内に緊張感が走る。「彼でさえ怒られたのだから、
自分は」と思うようになる。・・・優秀な者は、
叱られたくらいでヘソを曲げたりクジけたりはしない(p143)
・必要な資材や物品を、必ずしも社内から
調達する必要はない・・・同じグループの会社にさえ
買ってもらえないものが、社外で売れるわけがない。
コストを下げ、品質を改善するしかない。(p150)
【私の評価】★★★★★(90点)
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