「四十九日のレシピ」伊吹 有喜
2011/01/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
秋田新幹線の田沢湖駅の近くで、涙が出てきました。もし、最愛の人が亡くなったら・・・人は、最愛の人が亡くなってから、その人をよく知らなかった。十分に愛さなかった。と後悔することもあるようです。
この小説では、最愛の人を亡くした夫と娘が、ひどい(くさい?)生活に落ち込みます。そこに、なぜかガングロ・ギャルがやってきて、生前、最愛の人に掃除を頼まれた、と掃除をはじめる。さらには、力仕事を手伝ってくれるブラジル人カルロスがやってくる。
そして、落ち込んだ家族は、二人の手伝いもあって、最愛の人が残してくれた「暮らしのレシピ」を読みながら生活を立て直していくのです。
そして、彼女は死を予期していたのか「四十九日のレシピ」!には、みんなで楽しく飲んで歌って大宴会をしてもらえばうれしいと書いてあったのです。
・この十日間、ハルミに手伝ってもらって、三十六枚の模造紙に年表を書いた・・・上から三分の二に乙母の歴史、下から三分の一にその時代の風俗やトップニュースを書き込んでみた(p107)
宴会での芸がない家族は、宴会で話がはずむんじゃないかということで、最愛の人の「自分史」を作りはじめます。
「自分史」を書いていくなかで、最愛の人のことを良く知らないことを悟り、最愛の人を再確認することになっていくのです。
・年表の「1972年」の部分に字を書こうとしたら、紙の余白に涙が落ちた。思い出したらさまざまな事柄が心にあふれ、今度は何から書いていいのかわからなかった(p174)
人の死に接しての悲しみとその乗りこえ方を学べたような気持ちになりました。
今、大切なことは、大切な人を大切にすること。そうなんだ。それが大切なのだ。
伊吹さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・神戸に生まれる」と書かれた最初の紙の前に行き、その文字を見上げた。どんな人もみな、『あしあと帳』の最初はこの言葉で始まる。そしてその後は誰一人として同じものがない。(p214)
・どうして、自分はあのとき怒鳴ってしまったのだろう。どうして。あれが最後の会話とわかっていたなら・・・(p226)
・人ってそういうものじゃないでしょうか。親が子を支えるように、みんな、誰かの踏切板になって、次の世代を前に飛ばしていく(p192)
【私の評価】★★★★★(96点)
著者経歴
伊吹 有喜(いぶき ゆき)・・・1969年生まれ。2008年「風待ちのひと」で第三回ポプラ社小説大賞特別賞。
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こんばんは。
コメントありがとうこざいました。
凄い読書量ですね!!
感心してしまいました。
この作品ですが、いろいろと感じるところはあってのですが、子どもを持たない女性への考えが素晴らしくて、目からうろこでした。
かつてないような輝きが感じられました。
他の作品も読んでみようと思います。