「午後の曳航」三島 由紀夫
2011/01/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
自衛隊市ヶ谷駐屯地で自殺をとげた三島由紀夫という人がどういう人なのか、興味があったので読んでみた一冊。単なる物語ではなく大人の恋愛と、少年とその友だちの確執といった二つの世界を楽しめる一冊でした。
未亡人と船乗りが恋をして結婚するまでの過程と、息子である少年との係わりを、心の動きと一緒に表現しているところは、「うまいな」と感心しました。
もう一つの世界は、少年たちから首領と呼ばれ「十四歳未満は犯罪をしても裁かれないんだよ」とうそぶく冷酷な少年にそそのかされる少年たち。新興宗教の洗脳の技術に似ているなと感じました。
そうした冷酷な少年の発言を見ていると、三島さんという人は、頭は良いのですが、現実への対処となるとすごい結論に到達する人のような気がしました。
これからも三島さんを研究していくつもりですが、小説家としては一流だと思います。三島さん良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・かつて首領は、世界には不可能という封印が貼られており、それを最終的に剥がすことができるのは僕たちだけだ、と言っていたのだが。(p128)
・結婚の前提として、秘密探偵社に調査をたのむこと・・・彼を伴って房子の信用している病院へゆき、お互いの健康診断書を交換すること・・・(p119)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
著者経歴
三島 由紀夫(みしま ゆきお)・・・本名は平岡 公威(ひらおか きみたけ)1925年生まれ、1970年没。小説家・劇作家。『仮面の告白』『禁色』『潮騒』『金閣寺』『鏡子の家』、『豊饒の海』『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』、『近代能楽集』など。1970年11月25日自衛隊市ヶ谷駐屯地(現:防衛省本庁)で東部方面総監を監禁し、バルコニーで演説した後、割腹自殺。
読んでいただきありがとうございました!
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