「成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ」波頭 亮
2010/08/06公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
戦略コンサルタントが考える日本のビジョンと戦略です。波頭さんの主張は、増税と社会福祉強化と自由経済です。プラス教育が大事です。自由経済とは、規制緩和、競争のある社会です。
・(OECDの企業が労働者を解雇する難易度を指標化した調査)先進国の中では、最も解雇しにくい方からドイツ1.19、フランス1.08、日本0.85となっている・・・解雇し易い方ではアメリカが0.23、イギリス0.49(p157)
高福祉と自由経済は合わないんじゃないか、と考える人がいるかもしれませんが、それは逆なようです。高福祉だからこそ、会社が不要な人を解雇することができる環境にすることができると主張しています。(実際に実現可能かどうかは疑問ですが)
・「高福祉なのに自由経済」ではなく、「高福祉だからこそ自由経済」だと理解すべきである。手厚い社会保障による生活の保障があるからこそ、労働者は解雇に応じる(p160)
こうした国家戦略のようなものは、複雑であり国民の運命がかかっていると思うと、非常に判断の難しいもののように感じました。とりあえず、統計データを見ながら自分でも考えてみたいと思います。
波頭さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・労働時間について言うと、日本は年間1772時間・・・1985年には日本が約2100時間・・・GDPを生み出すための経済要素としての「労働」が減少(p41)
・企業も国家も「成長は全てを癒す」と言われるが、「成長が止まると、全ての問題が吹き出す」のである(p81)
・日本の経済が歪んでしまった最大の理由は、増税をして来なかったことにある。・・・95年以降、合計226兆円にも上る景気対策を打って来たが、これは国債の発行によって賄われた(p104)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
1 二一世紀日本の国家ヴィジョン
2 経済政策の転換
3 しくみの改革
著者経歴
波頭 亮(はとう りょう)1957年生まれ。マッキンゼーを経て、1988年(株)XEEDを設立し独立。戦略系コンサルティングの第一人者。
コメントする