「究極の田んぼ」岩澤 信夫
2010/07/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
■究極の田んぼとは、
農薬を使わず、田んぼを耕さず、
肥料を入れずに、正苗を移植する方法です。
冬の間には田んぼに水を入れ、
プランクトンを育み、
イトミミズのような生物を繁殖させます。
■専門家でないのでわかりませんが、
かなり画期的なことなのではないでしょうか。
耕運機がいらない、肥料がいらない、
農薬がいらない、
さらに収穫が増えて、かつ、
冷害に強いという田んぼなのです。
・不耕起で硬い土に植えられたイネは、エチレン効果で、
隣のイネとは品種が違うのではないか、
と思うほどイネの姿に開きがあります。
もちろんイトミミズが、1000万匹を超した田んぼには
肥料を入れません。(p145)
■こうした冬期湛水・不耕起・成苗移植法は、
20年以上の試行錯誤が必要だったそうです。
また、普通の田んぼは、稚苗を植えるのに、
岩澤さんの方法は成苗を植えるので、
専用の田植え機も開発しなくてはなりませんでした。
かなりのご苦労があったと思いますし、
本書でもその迫力は伝わってきました。
岩澤さん、良い栽培法を
ありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・1年に1回しか取れないイネつくりで収穫が皆無になると、
経済的に立ち直るには3年以上の時間が
必要だといわれています・・・
出稼ぎをしたり借金をして、
翌年までしのがなければなりません(p38)
・箱育苗でつくる2.5葉の苗ではなく、
昔ながらの水苗代でつくった5.5葉の苗を、
わざわざ手植えで植えていました。
ここで、冷害対策の一つは5.5葉の苗になる、と
私は直感したのです。(p45)
・不耕起の田んぼが日本中に広まったら、
耕す必要がなくなるのでトラクター(耕運機)が
売れなくなる」というものでした。(p53)
・スーパーのコメは、JAなどの価格より
60㎏当たり約1万円高く売られています。
JAから県経済連、全農、米卸、
小売店へと、わたっていくうちに、
手数料や運賃や精米費が加算され、
約1万円高くなるのです。(p124)
【私の評価】★★★★☆(85点)
■著者経歴・・・岩澤 信夫(いわさわ のぶお)
1932年生まれ。
1960年代はスイカの早期栽培に成功。
1970年代末からはコメ作りの研究に没頭。
冷害に強い、不耕起栽培、成苗などに試行錯誤。
2002年自然耕塾を開講。
2008年吉川英治文学賞。
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