「太平洋戦争の意外なウラ事情―真珠湾攻撃から戦艦「大和」の沖縄特攻まで」太平洋戦争研究会
2010/06/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
「あの戦争は何だったのか」ということは多くの方が考えることだと思います。なぜ米国と戦ってしまったのか、なぜ最後通牒は遅れたのか、なぜ大和は出撃していったのか。この本では、こうした太平洋戦争での「本当はどうだったのだろう?」を集めた一冊になっています。
・「大和」を率いる伊藤整一中将(第二艦隊司令長官)はこの作戦に反対した。出撃命令に反対するなど、抗命罪ものである。・・・それほど「大和」出撃作戦は無茶苦茶な内容だった(p206)
私が感じたのは、戦争というのは企業の活動と同じで、合理性が求められるということです。物理的・理論的に間違った判断は、そのまま戦果となって答えが出てしまうのです。その結果は企業の決算と同じように、そこに生きる人の運命さえ変えていくのです。
・日本海軍はこの年六月初めごろまでは、日本が南進してマレー半島やシンガポール(ともにイギリス植民地)や蘭印を攻略すればアメリカが必ず加担するので、戦争はできないと考えていた。しかし・・・七月二十一日の大本営政府連絡会議で、永野運令部総長は「米国にたいしては今は戦勝の算ある」などと発言していたという(p23)
全体的な印象としては、戦略の誤りは、個人の努力では挽回できないという感覚を持ちました。何かが間違っていたのでしょう。PHPさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ヒトラーにとって、日本人は文化創造力のない、「ユダヤ人やスラブ仁よりはすこしましでも、とうていアーリア人とは同じ水準では論じられない」人種であった。(p78)
・「報道班員、日本もおしまいだよ。僕のような優秀なパイロットを殺すなんて。ぼくなら体当たりせずとも敵空母の飛行甲板に50番(500キロ爆弾)を命中させる自信がある」(関大尉)
・レイテ島の日本軍は大敗した。戦死者は八万人・・・台湾沖航空戦において、米空母機動部隊(空母12隻を含む)を壊滅したという大々的な戦果発表を信じたからである・・・海軍は誤報であったことはどこにも知らせなかった(p186)
【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
第1章 日米開戦と真珠湾奇襲をめぐる謎
第2章 南方攻略作戦と緒戦の快進撃をめぐる謎
第3章 戦局反転をめぐる謎
第4章 日本陸海軍、最後の決戦をめぐる謎
第5章 終戦と混乱をめぐる謎
著者経歴
太平洋戦争研究会・・・代表は平塚 柾緒(1937年生まれ)。本書執筆は守山康平(1942年生まれ)。戦史ファン、歴史学者、ジャーナリスト、漫画などの集団。
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