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「ボロを着た王子様」村崎 太郎

2010/01/29公開 更新
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ボロを着た王子様

【私の評価】★★☆☆☆(67点)


■"反省"ポーズで一世を風靡した
 猿まわしの太郎と次郎の物語です。


 自分が部落出身であり、
 それまでのバカにされた日々、
 温かい両親についての思い出が
 綴られています。


 劣等生だった太郎は、
 「努力すれば結果が出せる」と勉強をはじめて、
 ビリからクラス一の成績を取るように
 なったりしています。


・半年後、クラスで一番ビリだった僕がトップクラスの成績になった。・・・半年後にクラス一の優等生となったんだ。(p66)


■猿まわしで有名となり
 お金が入ってくるようになっても、
 太郎の心は満たされなかったようです。


 二度の離婚を体験したり、
 鬱になってしまったのも、
 自分の心の中にある
 部落民というキズが
 影響していたのでしょうか。


・何代も外車を購入していった。それでもなぜだか僕の欲求は満たされない。(p174)


■東北出身の私にとっては、
 部落民といっても教科書上のこととしか
 思えないのですが、現代もその亡霊は
 生きているということなのでしょう。


 一方は「差別だ、差別だ」と批判し、
 一方は「怖い、仕方がない」と委縮する。
 不幸な歴史はまだ残っているのかもしれません。


■こうした差別制度は、
 なかなか解消しないものだということが
 わかりました。


 これで外国人を労働力として
 外国から入れようという政策は
 大丈夫なんだろうかと不安になりました。


・「人の嫌がる仕事を進んでしましょう」小学校の先生が言ったことは正しいな。けど、今のこの社会は、そんな仕事をしている人ほど冷遇されている。近年、看護師不足で海外からの労働力に頼まなくてはならないなんて・・・(p198)


■朝まで飲み明かしたり、
 外車を何台も購入したり、
 ものすごい被害者意識に
 やや引いてしまいました。


 ただ、そうした心に傷のある人がいるということを
 理解させてくれる本ということだと思います。
 本の評価としては★2つとしました。
 

━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・村崎、本は時としてお前の悩みに答えてくれるぞ。まあ、村崎の頭は悩むほどのものはないじゃろうが、本が欲しかったら図書館に行けば、タダで貸してくれる(p119)


・お父ちゃんの墓石に刻まれた文字が飛び込んできた。『生命は 鍛えに鍛えて 輝く』これはお父ちゃんの座右の銘だ。(p285)


・「大丈夫さ・・・。いつか、いいこともあるから」自分にも向けて言ったのだろう。その言葉は、僕が鬱から抜け出すための、最初の特効薬だった。(p154)


・イタリアだけではなくスペイン・ドイツでも公演することが決まっていたのに、あと一歩というところで、決定的な問題だけがクリアできないという窮地に陥った。検疫だの動物出入国だのの法律的な問題(p279)


ボロを着た王子様
村崎太郎
ポプラ社
売り上げランキング: 6197
おすすめ度の平均: 4.5
4 買いです。
5 感動しました
5 とにかくおもしろい
5 深い本でしたね!
5 いい本です!!

【私の評価】★★☆☆☆(67点)


■著者経歴・・・村崎 太郎(むらさき たろう)

 1961年生まれ。
 17歳で初代次郎と猿まわしを復活。
 次郎の"反省"ポーズで人気者となる。
 二代目次郎とはアメリカ、中国公演を実現。


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