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「情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 」後藤田 正晴

2009/11/19公開 更新
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情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■警察官僚から政治家となったカミソリと言われる男、
 後藤田正晴氏の回顧録です。


 政治家として初回当選までの
 官僚としての経験が綴られています。


■この本で面白いところは、
 警察や官僚という組織の考え方、
 不文律、権力構造がわかるということです。


 やはりサラリーマンに限らず、
 役人も人事というものが、
 力の源泉になっているようです。


・組織というのは人事権が非常に重く作用するんですね。・・・都道府県警察の警視正以上は、国家公安委員会が人事権を持つということにしているんです(p141)


■そして、もうひとつは面白いところは、
 後藤田氏がなぜカミソリと言われたか、
 ということです。


 私には、後藤田氏は、常に原則を持ち、
 その原則に従って判断していたからだと
 感じました。


 原則がある。
 だから、自分の考えを曲げるつもりはないし、
 曲げる必要もないわけです。


・一回は許すんです。人事の時にも、一回目の失敗では左遷しない。下へは行かせない。横転させるんです。そしてじいっと、そいつを一年、二年見ている。そこで立ち直った奴は、横転を飛び越して、次の人事で遅れを取り戻させる(p216)


■下巻も読みたくなって注文しました。


 やはりテレビや新聞を読むだけでは、
 まったく見えない部分があると
 わかる一冊でした。


 興味深く読めましたので
 本の評価としては★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・警視総監というのは、在職期間中は管轄外の地域には出ないというのが不文律なんです・・・それから警察庁長官は長官在任中は国を離れない(p134)


・本当の意味で登竜門といえば、警察の場合は人事課長と会計課長じゃないでしょうか。だいたいどの役所でも人事と予算をやっているやつが一番強い。(p211)


・日本の情報機関というのはいかにも呑気だ。情報収集の組織も貧弱だし、力もない。無力だ。(p237)


▼引用は、この本からです。
情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)
後藤田 正晴
講談社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 後藤田正晴流「部下の叱り方」
4 政治家の思い
5 政治の冷静な証言者
4 素人には分からないよ

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■著者経歴・・・後藤田 正晴(ごとうだ まさはる)

 1914年生まれ。
 1939年内務省入省。自治省官房長、警察庁長官、
 内閣官房副長官を経て、1976年衆議院議員。
 自治相、内閣官房長官、総務庁長官、法相など歴任。
 1996年政界から引退。


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