人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「裸でも生きる―25歳女性起業家の号泣戦記」山口 絵理子

2009/11/09公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社+α文庫)


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー

 バングラディッシュでカバンを生産し、日本で売っている女性の半生を記録した一冊です。彼女は、大学のインターンで国際援助機関で働きはじめました。しかし、その現場から隔離した世界に疑問を持ち、途上国へ実際に行ってみることを決心。最貧国のバングラディッシュの大学院に入学したのです。


 昼は現地の商社のインターンとして働き、夜は大学院で勉強する生活です。そうした生活の中で、彼女の中にどうしてこの国はこんなに貧しいのかという疑問が膨らんでいきました。また、企業は安いからという理由だけで、バングラディッシュで生産し、先進国に輸出しています。彼女の中で、問題意識が大きくなっていったのです。


・スラムを見たときの衝撃は、ずっと頭から離れなかった。私はどうして日本に生まれたんだろう。このスラムの中で生まれていたら・・・(p77)


 そうした疑問の中から、彼女は、バングラディッシュで品質のよい製品を作り、ブランドとして日本で売る、というアイディアがひらめきました。彼女はさっそく工場探しを始めます。工場を見つけても、騙される。品質は良くならない。日本でなかなか売れない・・・。はじめてやることは失敗すると決まっています。それでも彼女はあきらめなかったのです。


・あるメディアの取材を受けたとき、自分が話したことと違うニュアンスで、私のことが書かれた。その記者さんに、・・・書き直しをお願いした。すると記者さんは、「みんなが自分を応援しているなんて、勘違いするな!」と言った。(p184)


 驚くほど涙が書かれてある一冊です。いいなあ。涙が出るくらい真剣に仕事をしてみたいと思いました。成功哲学書の「絶対にあきらめない」という言葉を1万回読んでもこの本にはかなわないでしょう。


 彼女の涙に★5つとしました。


この本で私が共感した名言

・あんたみたいなきれいな心を持った人間が、この業界では、食い物にされちゃうんだよ。みんないい人ばかりじゃないんだから。餌になんてされていいわけないでしょ(p199)


・バングラディッシュの人が自分に問いかけているような気がした。「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」って。(p258)


・いわゆるフェアトレードと呼ばれる商品を生産している社会の底辺にいる人たちは、悪い商品でも心温かい先進国のバイヤーに買われ、結果消費者の満足にはほど遠い商品が作られ、かわいそうだからという気持ちで買われ、使わずにタンスにしまわれている。(p120)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★★(91点)


目次

第一章 原点。学校って本当に正しいの?
第二章 大学で教える理論と現実の矛盾
第三章 アジア最貧国の真実
第四章 はじめての日本人留学生
第五章 途上国発のブランドを創る
第六章 「売る」という新たなハードル
第七章 人の気持ちに甘えていた
第八章 裏切りの先に見えたもの
第九章 本当のはじまり
エピローグ 裸でも生きる



著者経歴

 山口 絵理子(やまぐち えりこ)・・・株式会社マザーハウス代表取締役兼デザイナー。1981年埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程修了。高校の「男子柔道部」に自ら飛び込み、全日本ジュニアオリンピック第7位。偏差値40から受験勉強3ヵ月で慶應大学に合格。大学のインターン時代、ワシントン国際機関で途上国援助の矛盾を感じ、アジア最貧国「バングラデシュ」に渡り日本人初の大学院生になる。23歳のとき起業を決意し「株式会社マザーハウス」を設立。現在バングラデシュでジュート(麻)を、ネパールではダッカ織りを使った高品質バッグを現地でデザイン・生産。現在都内に6店舗、大阪、福岡に直営店を設け、販売。


楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!

いつも応援ありがとうございます
人気ブログランキング
に投票する

人気ブログランキングへblogrankings.png


メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」
44,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。
>>バックナンバー
もちろん登録は無料!!
        配信には『まぐまぐ』を使用しております。


お気に入りに追加
本のソムリエ公式サイト一日一冊:今日の名言

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 , ,


コメントする


同じカテゴリーの書籍: