「リンゴが教えてくれたこと」木村 秋則
2009/07/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(95点)
要約と感想レビュー
■木村さんは、家族が農薬で体を壊したことを
きっかけとして、リンゴの無農薬栽培に
挑戦しました。
その代償は大きく、
9年間無収穫というものでした。
・私のような栽培を来年からすぐというと、それはやはり難しい。・・・田んぼは三年かかります。・・・前年度の肥料や除草剤の成分が残っているからです。・・・リンゴは八年かかります。(p193)
■9年間の試行錯誤の中で見えてきたのは、
現代の農業は、肥料で強制的に栄養を与え、
害虫は農薬で殺すという
人工的なものであるということです。
木村さんはこうした工業製品を作るような農業は、
いずれ土壌の力を失わせ、
環境汚染を発生させていると指摘しています。
・みんなが肥料、農薬、除草剤を使わなければ、川も海もきっときれいになります。・・・石灰ボルドー液による重金属汚染の広がりが心配です(p197)
■しかし、現実には肥料、農薬を使わないで、
本当に農業が商売として成り立つのか
心配する農家が多いそうです。
木村さんは、その時は、
収穫が少なくなるかもしれないけれど、
農協に支払っている肥料や農薬代が減るので
けっこう儲かるよ、と説明するそうです。
・私は農家の人にこう言います。「あなたがたは一万円の売上に七千円の経費をかけています。肥料、農薬、機械に七千円もかけているのです。・・・自然栽培は肥料、農薬を使いません。・・・半分の五千円の売り上げでも、経費を千円以下に抑えられます(p194)
■私が衝撃を受けたのは、
肥料、農薬を使わなければ、
害虫が発生しないということです。
つまり、害虫は、
人が食べてはいけない有害な野菜だけを
食べてくれているということです。
これは、映画「風の谷のナウシカ」で
腐界やオームが地上の有害物資を
取り除こうとしていることと全く同じことです。
人間は、そうした自然の浄化能力を知らずに、
オームのように農薬で虫を殺し、
どんどん農薬と肥料をまき、
環境汚染を進めているのです。
・バランスのとれた土壌で、農薬を投与しなければ害虫は発生しません。私は人が食べてはいけない有害物質を害虫が代わって食べてくれているのだと思っています。(p184)
■農業関係者の方が読んだら、どんな感想を持つのか
非常に興味深い一冊でした。
農業経験がないので、見えないところがありますが、
本の評価としては★5つとします。
この本で私が共感した名言
・「家族がみんな、金持ちで幸せに暮らせますように」などと人間は願います。神様が木や鳥やすべての地球上の生き物の願いを聞きます。すると何のお願いが一番多いでしょうか。「人間が地球からいなくなった方がいい」(p5)
・イネが米を作っているんですよ。イネがあなたたちの生活を支えているんですよ。そのイネはどこで育ちますか?田んぼです。収穫が終わってから田んぼに行って一言でもお礼を言う気持ちになってください(p98)
・有機農業は施される堆肥を間違うととんでもないことになります。・・・硝酸態窒素濃度の高い資料を与えたために、牛が死んだ・・未成熟堆肥を作物に使うと、家畜糞尿に含まれる硝酸態窒素が作物に入ってしまいます(p106)
・雑草を丁寧に取っていると、土が固まってしまいます。土をつくるために草ぼうぼうにしてください。・・・雑草の力はすごいです。(p159)
・土に温度の低いところがある場合、壊さないと何年やってもダメなのです。・・・五十センチの穴を掘って、十センチごとに温度を測ってみます。・・・大麦はその層を壊していきます(p170)
▼引用は、この本からです。
日本経済新聞出版社
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【私の評価】★★★★★(95点)
著者経歴
木村 秋則(きむら あきのり)・・・1949年青森県生まれ。高校卒業後、川崎のメーカーに集団就職するが、1年半で退職。71年に故郷に戻り、リンゴ栽培を中心とした農業に従事。家族が農薬で病気になったことをきっかけに78年頃から無農薬・無肥料栽培を模索。十年近く収穫ゼロとなるなど苦難の道を歩みながら、完全無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功する。現在、全国で農業指導を続けている。
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「リンゴが教えてくれたこと」木村 秋則です。
木村さんの執念と研究心には脱帽です。
死を覚悟するところまでいかないと、
新しい発見は出来ないのですね。
今通勤電車の中で木村秋則さんの「リンゴが教えてくれたこと」を読んでいます。
木村さんは高学歴者ではないけれど、とことん観察することによって自然の摂理を理解し、実行する科学者になられました。
お金を使わず、自然にやさしく、世のためになる農業を考え出されました。
日本だけでなく世界で農業指導されていますが、本を書いてくださったお陰で、家庭菜園も持たない私に「とことん観察し、とことん考えること」の大切さを教えてくださいました。