「「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方」駒崎 弘樹
2008/02/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
■NPO法人の本だと思ったら、
日本のお役人の悪いところを
教えてくれる一冊でした。
お役人がいかに税金を使って意味のないことをしており、
民間の活動を邪魔しているかがわかります。
■まず、補助金制度です。
「補助金」というとすばらしい制度に見えますが、
国の補助金事業となると、
国は現場にいろいろ口を出してきます。
そのために、自由に料金設定したり、
サービスを簡単に変更したりできなくなるのです。
・なぜ病児保育室が増えていかないんでしょうね?・・・
施設の収支を見て、僕は目を疑った。
ひどい赤字なのである。・・・
収入の面は、圧倒的に(自治体からの)
「補助金」という項目が多かった・・・これだ。
価格設定が間違っている。・・・
いや、価格はいじれないのや。
区から『その値段でやれ』と言われてるんや。・・・
なんてこった。事業者を助けるための制度が、
逆に事業者を赤字にさせているなんて。(p114)
■そして、国の制度はお役人が頭で考える仕組みであり、
税金を使うということで、現場に合わない
硬直的な制度である場合が多いのです。
形だけ取り入れて制度化して、
うまくいかないからといって
簡単に改善はできません。
・国にパクられるという栄誉?・・・
国の補助金事業として全国にフローレンスの
「非施設型」モデルが伝播したのに、
モデルの大切な部分(保険共済モデルなど)は組み込まれず、
ある意味、フローレンスとはさまざまな点で
異なった形で水平展開されていった。
その結果、多くの事業者はうまく事業を運ぶことができず、
ほとんど病児保育がされていないところもあった(p211)
■さらに、国のお金を使うとなれば、
その検査に必要な膨大で理不尽な書類作成を要求するのも
お役人の常套手段です。
(会計検査院対策だとは思いますが・・・)
こうした現場の声を聞いていると、
決してお役人(国)に頼っては
ならないということがわかります。
自らの足で立って、自立していくことが
大切だと感じました。★3つとします。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・NPO業界の人材層は、農業をもじって「三ちゃん業界」
とか言われている。「あんちゃん(学生)・おばちゃん(主婦)・
おじいちゃん(退職後の高齢者)」から成る業界、という意味だ。
つまり「それで食っている」若手や中堅の人材がいないのだ。(p15)
・ある保育団体の創業者のおばちゃんは僕の企画を見て激怒した。
「病児保育?あなた親をこれ以上甘やかすつもりなの?・・・
あなたみたいなわけのわからない人には、
その資格なんてないのよ!帰りなさい!」(p87)
・衆議院議員会館まで行き、部屋に通された。待つこと三十五分。
挨拶もせずに足早に入ってきた「雑草」の某野党センセイは、
応接室の低い椅子にドカッと腰をおろすと、胸をのけぞらせて
言ったのだ。「ふぅー。んで、何してほしいの?」(p100)
・従来の施設型の病児保育をしている小児科医や保育園長から、
多くの非難を受けた。
「病児保育を儲けの道具に使うのは、
まったく、けしからんことだ」・・・
「事業として成り立たせよう、なんてばかげている。
自分たちは無私の気持ちでやっている。
政府に補助金の増額を要求しつづけることが
重要なのだ。」(p181)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
■著者経歴・・・駒崎 弘樹(こまざき ひろき)
NPO法人フローレンス代表理事。
1979年生まれ。大学在学中にITベンチャー(有)ニューロンの
経営に参画。株式会社化後、同社代表取締役社長。
その後、会社を譲渡・退社し、地域が支える子育てを支援する
フローレンス・プロジェクトを始める。
2004年NPO認証取得。
2005年4月から江東区・中央区にて
「保険的病児保育サポートシステム」をスタート。
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