「CIAは何をしていた?」ロバート・ベア
2007/01/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
著者は、中東を中心に活躍した元CIA工作本部の一員であり、この本は、その工作活動を赤裸々に記した一冊です。著者は、スパイを運営するケースオフィサーであり、スパイの獲得から運営までの活動内容を暴露しています。
フセイン大統領時代のイラクでの活動では、現在のイラク大統領タラバニ氏とのクーデター計画など、著者は、CIAの活動の中心となっていました。
著者の不満は、1990年代、ソ連の崩壊に伴い、CIAがスパイからの情報収集よりも、盗聴、衛星写真、電子盗聴など人を頼らない活動に重点を置くようになったということです。
そのために、2001年9月11日に発生した同時多発テロを未然に防ぐことができず、その後の実行組織の捜査も難しくしていると断言しています。
・当時も、今も、将来でさえも、写真が建物の内側、あるいは建物に居住している人間の頭の中で何が起きているかを教えてくれるということはあり得ない。それを知るには、人間の情報源が必要だ。(p160)
平成16年5月に、上海の日本領事館で、一人の電信官が「自分はどうしても国を売ることはできない」という遺書を残して自殺しましたが、この本と同じような活動が、日本でも行われていると考えるのが妥当でしょう。
情報機関の活動を知ることのできる一冊ということで、★3つとしました。
この本で私が共感した名言
・ケースオフィサーというのはエージェントを指揮するCIAの幹部局員だ。・・・ケースオフィサーの指示で、エージェントは機密、計画、文書、コンピューターのテープ、その他何でも盗みだす(p55)
・自分のエージェントの命以上に大切なものはない、ということだ・・・エージェントを守ってくれないという噂がひろまれば、再びCIAのためにスパイしようというものはいなくなってしまう。(p99)
・深く探れば探るほど、カスピ海諸国のオイルマネーがワシントン中に撒き散らされているのがわかった。カスピ海諸国の大使館のファックス専用線は、ホワイトハウスへのアクセスを売り込むロビイストや法律事務所からの提案で焼きついていた。(p471)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
著者経歴
ロバート・ベア(Robert Baer)・・・1953年ロス生まれ。大学卒業後、1976年CIA入局。主に工作本部対テロ部門のケースオフィサーとして勤務。インド、レバノン、タジキスタン、イランで勤務。1997年CIAから辞任。1998年、CIAキャリアインテリジェンスメダルを受賞。
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