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「緒方貞子という生き方」黒田 龍彦

2006/11/24公開 更新
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緒方貞子という生き方


【私の評価】★★☆☆☆(66点)


要約と感想レビュー

国連難民高等弁務官を10年勤める

緒方貞子さんは、1991年から2000年まで国連難民高等弁務官として務めました。難民を援助する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、五千人の職員と120ヵ所を超す現地事務所を抱え、予算は年間十億ドルも使っているのです。


その期間は、クルド難民、ボスニア、カンボジア、ルワンダと多くの紛争があり、難民は増え続けました。そうしたなかで、緒方貞子さんは、従来の難民の定義を変えて、自国内のクルド難民への援助を決定したのです。紛争中の地域に入っていって援助を行うなど、国連のUNHCRの規則や慣例を変えていったのです。


緒方さんはいくつかの規則や慣例に関して要求を聞き入れてもらうために座り込みのハンガーストライキを行い、組織に対して"ショック療法"を試みた(p116)

自分が率先して危険な現場に入る

何より、自分が率先して危険な現場に入ることで、関係者に難民救済への情熱と決意を示していたようです。セルビア系武装勢力の包囲によって孤立したボスニアヘルツェゴビナ首都サラエボでは、空から援助物資を届ける決断をしています。


従来のUNHCRの実績では空輸手段は初めてであり、停戦の合意なしの状態の戦闘の中へ援助物資を運ぶのは考えられないことだったのです。組織のトップが現場にいることは、士気も上がりますし、トップが見当違いな判断をすることを防げるはずです。


日本ではあまり報道されなかった緒方貞子さんの偉大さが垣間見れる一冊です。やや単調でしたので★2つとしますが、緒方貞子さんについては、もう少し掘り下げて調べてみたいと思います。


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この本で私が共感した名言

・イラクという国はかなり工業化の進んだ国家で、水ひとつとっても、浄化設備は整備されている。・・・つまり、軍事目標である発電所が破壊されると・・・工業化された社会が原始時代に戻ってしまった。(p65)


・同じ地球上で、これだけ多くの紛争が起こり、たくさんの人が苦しんでいます。そのことに、国際社会も無関心ではいけません。(p172)


▼引用は、この本からです。
緒方貞子という生き方
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黒田 龍彦
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)


目次

1 理想の国際人のつくり方―"戦前の帰国子女"と家族の肖像
2 難民救済に懸けた十年―"人間のあり方"を考えるのは最も大切なこと
3 女だったからこそできたこと―世界が向けた"聖母"への視線
4 難民を救うことは地球を救うこと―いまなおこの星で起きている戦争



著者経歴

黒田 龍彦(くろだ たつひこ)・・・1962年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経て、ジャーナリストとして国際文化研究を行う。アジア各国で発行される日本人向け月刊誌など多くの現地誌に奇稿


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