「ものは言いようで腹が立つ」柴田 謙介
2006/10/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
私は1日30万円のコンサルタントとの会議に参加する機会がありました。そのコンサルタントの内容自体はたいしたことはなかったのですが、驚いたのはそのコンサルタントの受け答えです。
こちらは素人ですから、少なからずトンチンカンな質問をする人もいるわけです。そうした人にも、バカにするような素振りは見せず、「そういうこともあるでしょうね」と受けて、話を続けるなかで、でもやっぱりこうですよね、と自分の話の方向に持っていくわけです。
そこで、トンチンカンな質問をした人は、自分が間違っていたことに気づくのですが、「それはちがいますよ」と言わずに、相手に気づかせるテクニックに、私は驚愕したのです。
・意見交換の場では、相手に何を言われても、いったんは受けとめることが大切だ。「そんなことはない」と一方的に相手の言葉を否定するのは、言葉につまった子供の言い訳のように聞こえて、場をシラけさせるだけだ。それよりは、「なるほど」「たしかにそうですね」(p18)
「○○さんは、いらっしゃいますか?」と言われて、「○○さんは、いらっしゃいません」と間違った敬語で受け答えするOLは問題外です。ちょっとした言い方で、仕事の結果が変わってくることがあります。
例えば、上司や先輩に相談事があるとき、いきなり「課長、いまいいですか?」とか「先輩、ちょっといいですか?」と聞くよりも、「お仕事中、失礼します」とひと言断るのが、スマートなのでしょう。
・うちの会社においでになったのは、はじめてでいらっしゃいますか?・・・弊社にお越しになったのは、はじめてでいらっしゃいますか? と言えば、上品かつ洗練された言い回しになる。(p141)
この本は、こうした間違いやすい日本語の具体例を挙げて教えてくれる【話し方の辞書】ともいえるものです。私の読んだこの手の本の中で、具体的でもっとも分かりやすく、社会人として繰り返し読むべき一冊です。★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・子供に何かうながすときは、自分がそう言われたとき、素直に聞けるかどうかを考えて言葉を選ぶことだ。たとえば、「今日は宿題もあるし、これを見終わったらテレビは終わりにしようね」と言えば、子供は素直に聞くことだろう。(p40)
・それほど急ぎでない用事を頼むとき、つい口にしがちな言葉が、「暇なときでいいから、やっといてくれる?」というものだ。だが、これでは、頼まれたほうも困ってしまう。・・・頼むときは、「○○まで」と、期限をはっきり決めることが重要だ。(p49)
▼引用は、この本からです。
サンマーク出版
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【私の評価】★★★★★(90点)
著者経歴
柴田謙介(しばた けんすけ)・・・ 1956年、神戸市生まれ。78年、東京大学経済学部を卒業後、全国紙記者、出版社勤務を経て、88年に独立。現在、出版プロダクション代表。長年、現代の日本語について調べを続け、とくに、日常会話、ビジネス会話や電話、手紙、冠婚葬祭等での言葉づかいに造詣が深い
岩淵匡監(いわぶち ただす)・・・ 1937年、東京都生まれ。国語学者。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。教授として早稲田大学大学院教育学研究科、教育学部で教鞭をとる。全国大学国語国文学会理事
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