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「おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状」中条 高徳

2003/09/04公開 更新
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おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状 (小学館文庫)


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 キリンビール名誉顧問が、アメリカの高校に転入した孫の歴史の授業で出された「戦争を体験した人の話を聞く」という課題に答えたものです。おじいちゃんは陸軍士官学校に在学中に終戦を迎え、終戦時は長野県に天皇陛下用の地下軍事施設を建設していたという。それまで尊敬されていたのに、戦後は一転、軍服を着ているおじいちゃんは、「戦争犯罪人!軍国主義者!」と罵倒されるようになったという。


 おじいちゃん非戦闘員を標的とした原爆投下は、国際法違反であるとしています。また、東京裁判は、勝者が敗者を断罪した事後法であり、過去に遡って断罪するという野蛮な裁判であるということです。そして憲法を改正することが、日本がこれからどうあるべきかを示す試金石であるとしています。


 そして象徴としての天皇の存在こそが、日本が存亡の危機に直面したときに日本人を一つにまとめる力となっているということです。他の国ではクーデターや内戦が終わらないということがありますが、日本人は天皇の元なら一つにまとまることができるのです。


 こうした内容は右翼と言われるのかもしれませんが、本来の戦前からの本来の日本を失わないために、おじいちゃんが筆を取ったのでしょう。歴史の本としても読める本でした。中条さん、良い本をありがとうございました。
 

この本で私が共感した名言

・日本人が国益に比較的鈍感なのは、敗戦から終戦後の一時期を除いて、国家存亡の危機を痛切に経験したことがないからだろう。


・物質は誇りを保障するものにはならない。心を欠いたまま、物質を拠り所にして誇りを持とうとすれば、必ず歪みを生じる。奢り高ぶりになる。


・人間というのは、使命感を抱き、その使命感に誇りを持って燃えることができれば、どんな過酷さにも平気になれるものだ。


・満鉄を共同経営しようというアメリカの鉄道王ハリマンの提案をそのまま受け入れていたら、昭和の歴史は大きく変わっていたのではないかとおじいちゃんには思えてならない(p31)


・人間は"個"のみで生きられるならば、教育などは必要ない。"個"と"公"、この二つを調和させて生きるのが現実であり、大切なことなのだ(p50)


・軍事力というものは国際社会では非常に重要な要素なのだ。帝国主義の時代がそうだったというだけではない。いまでもそれは変わりない(p55)


・日本の過去を全否定する日本人がいる・・・コミンテルン(国際共産主義運動)の使途のような急進左翼を先頭に・・・文化的面構えを装った学者や評論家など、いわゆる進歩的文化人と称される・・・売国奴といわれても仕方がないだろう。その罪は限りなく重い(p167)


・日本はまず知識を覚え込むことに力点を置く・・・だが、アメリカの授業はまず考えることが最初にきます。考えるためには知識が必要になります(p247)


公に身を捧げる使命感。国民にその心が失われたとき、その国家が危うくなることは歴史が教えているとおりである。


 どうも最近、日本は危ないのではないかと思います。あまりに、国家を大切にする意識が希薄に感じます。このまま日本で安心して暮らせるのか?漠然とした不安があります。


 もし、なにかあったら、逃げるしかありません。海外での難民を見ると持っていけるものは限られますので、日本以外に資産を少し置くか、どこでも生きていけるような能力をつけておくしかありません。



【私の評価】★★★★☆(84点)



目次

1 生い立ちと陸軍士官学校
2 終戦、そしてルネッサンス
3 戦争の本質について
4 失われしもの
5 日本人の心


著者経歴

 中条高徳(なかじょう たかのり)・・・1927年-2014年。昭和2年長野県生まれ。陸軍士官学校、旧制松本高等学校を経て、昭和27年学習院大学卒業。同年アサヒビール入社。昭和50年取締役。常務、専務を経て昭和63年副社長に就任。平成2年アサヒビール飲料会長。平成8年にアサヒビール特別顧問。平成10年より同名誉顧問


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