「鉄屑ロマン」増井重紀

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鉄屑ロマン

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■著者は、住友商事で鉄屑取り引きを
 日系商社トップにまで拡大。


 その強みは、鉄屑の目利き。
 鉄屑を一目見ただけで、
 その重量、品質がわかるのです。


 そして鉄屑相場情報収集から
 買い入れ、売却まで
 一人で仕切っていました。


 その実績を買われ、
 40歳でアメリカの鉄屑輸出で
 トップクラスのヒューゴ・ニュー社に
 鉄屑担当副社長として転職します。


・ナンさんには、このほかいろいろと教わった・・
 メーカーさんに行ったらな、
 事務所に行くな、まず構内歩け。
 工場を歩くんや。鉄屑ヤード
 見せてもらいます言うて歩くんや・・
 在庫が多いか少ないか、
 それで景気が分かる。
 在庫が増えたら注意しろ、
 売掛金、心配するんや。
 鉄屑見たら頭下げろ(p23)


■転職先では、抵抗にあいながらも、
 徹底して戦い、屑鉄取引について
 全権を掌握します。


 著者が生き残れたのは、
 鉄屑の品質と価格を適正に評価し、
 価値ある鉄屑を仕入れること。


 そして、上下する鉄屑相場と
 競争相手の固定費を見ながら、
 より適正な売る、買うの判断が
 できたことでしょう。


・私は徹底的な社内の意識改革に手をつけた。
 もちろん抵抗はあった・・
 10年以上もヒューゴ・ニューに勤めていた人物。
 彼の抵抗はかなり陰険だった。
 まず、・・私にはアナタノ英語がワカラナ」
 とくる・・決して悪い人間ではないが、
 これが古参連中の正直な感情の表現だったのだろう・・
 結局、スキッパーにはクビを宣告した(p121)


■屑鉄業界の変人、奇人、
 有名人の話が非常に面白い。


 鉄屑業界の生き字引のような
 著者の話を聞けて幸せでした。


 増井さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・スクラップには取引所はない。
 相場が掲示板に出てこない・・
 現在の値段は幾らとか今日の引け値は
 幾らといった掲示板もない。
 鉄屑はいわゆる"現物取引"だけなのだ(p47)


・カーゴまだ売れてないならオファーを出してみたらと
 東鉄の安田課長が言ってきましたよ・・
 東鉄がいよいよ腰を上げてきたか・・
 ここまできたらもう売らんぞ、損しては売らん。
 東鉄にはっきり返事しといてくれ・・・
 かなりの上げ相場になるから当分様子をみたいと」
 「増井さん、相手は東鉄ですよ、そんなこと
 言うたら、あとでひどい目にあいますよ」
 「相手は東鉄だからはっきり言うんだ。
 彼らは相場のプロだ、分かってくれる、
 心配するな。下手な言いわけするよりも、
 本当のことを言うた方がうまくいく(p78)


・鉄屑商売の勝ち負けは
 1ドルが最後の勝負なのだ。
 相手が1ドル損をしているとき
 当社が1ドル儲けていれば、
 自ずと勝負あり。相手が赤字経営。
 こちらはまだ黒字経営。
 これが生死の分かれ目ではないか(p209)


・調査員を雇ってヒューカの仕入れ状況を
 毎日見張っていた・・
 彼らの投資額、港のリース料から判断する限り、
 扱い量を3倍にしなければ、
 大幅に高いコストになり、
 経営の悪化は必至であった(p210)


・弁護士たちにしてもこのような鉄屑会社の倒産事件、
 しかもその倒産会社が既存の鉄屑会社を買収して
 急成長した場合、会社の細かい内容、特に
 公害問題とか過去に発生した、まだ表に出てきていない
 再建債務関係(Hidden Risk=潜在リスク)
 の詳細が掴めない・・その打開策など提案してくる
 弁護士はいない。訴訟社会の米国では、
 下手な提案をして、あとで訴えられることを
 極端に恐れる。結局は問題ばかり積み上げられ、
 解決策は誰も出さない(p227)


・私が現在取り組んでいるのは、 
 鉄屑をアメリカから海外にコンテナで
 輸出する事業だ・・
 アメリカに運び込まれたコンテナの75%が空で、
 アジアに返送されているのだ・・
 コンテナ運賃の方が安くなってしまった(p290)


・鉄屑と男の勝負がしたいなら、
 築港にいけ、毎日築港に通って、
 入荷してくる鉄屑と話してこい、
 鉄屑と話ができるようになったら、一人前や」
 「築港」とは大阪港のこと(p23)


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■目次

序章 鉄屑はロマン
1章 大阪―鉄屑人生の原点
2章 ニューヨーク―鉄屑相場参入
3章 心血注いだロサンゼルスの10年戦争
4章 鉄屑と国際政治
終章 21世紀の蟻とマンモス


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