「生物と無生物のあいだ」福岡 伸一

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生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

【私の評価】★★★★☆(89点)


■著者は、米国ハーバード大学医学部の研究員として、
 細胞内部でのタンパク質の流れについて研究しました。


 細胞を研究してきて分かったことは、
 生物というものがいかに精巧であり、
 偉大な適用力を持ったものであるかということです。


■遺伝子の中に含まれた情報をもとに、
 外部から栄養を吸収し、
 絶えず死滅・生成を繰り返し、
 生物としての営みを続けているのです。


 ・私達は遺伝子をひとつ失ったマウスに
  何事も起こらなかったことに落胆するのではなく、
  何事も起こらなかったことに驚愕するべきなのである。
  動的な平衡がもつ、やわらかな適応力と
  なめらかな復元力の大きさにこそ
  感嘆すべきなのだ。(p272)


■こうした、人間の生物学的な偉大さを
 教えてくれるだけでなく、
 研究者の世界の実像もリアルに教えてくれます。


 1000円札の肖像となっている野口英世の評価などは、
 ちょっとしたトリビアでした。


 ・イザベル・R・プレセットによる"Noguchi and His Prtrons"・・・
  によれば、彼(野口英世)の業績で今日意味のあるものは
  ほとんどない。・・・ウイルスは微小すぎて、
  彼の使っていた顕微鏡の視野の中に
  実像を結ぶことはなかったのである。(p23)


■司馬遼太郎が生物学者になって、
 生物学の世界を語っているような
 感覚になるほどの筆力でした。


 小説としても読めるサイエンスということで、
 ★4つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・もし生命を「自己複製するもの」と定義するなら、
  ウイルスはまぎれもなく生命体である。・・・
  しかし、ウイルス粒子単体を眺めれば、
  それは無機的で、硬質の機械的オブジェにすぎず、
  そこには生命の律動はない。(p37)


 ・一見、固定的な構造に見える骨や歯ですらも
  その内部では絶え間のない分解と合成が
  繰り返されている(p161)


▼引用は、この本からです。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
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【私の評価】★★★★☆(89点)


■著者紹介・・・福岡 伸一(ふくおか しんいち)

 1959年生まれ。京都大学卒。ハーバード大学医学部研究員。
 京都大学助教授を経て、青山学院大学教授。分子生物学。
 著書多数。


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