■横森さんは、農家に生まれ、若くしてアメリカで大規模農業の研修を受け、
その後しばらく電気部品を作っていた変わり者です。
ちょうどオイルショックで仕事が減ったのを機会に、
やりたかった農業を始めました。
■昔ながらの、牛糞、稲わら、落ち葉の堆肥を使い、
木酢液、蠣殻(かきがら)、木炭などの資材を使って
「土づくり」に力を入れています。
手間を嫌って、化学肥料を多く使うと、
栄養のバランスが崩れ、硬い土になってしまうそうです。
・「栄養が吸収できる状態」の土とはどんなものかというと、
実は、土壌微生物がたくさん繁殖し、活発に活動できるような
状態のことなのである。(p28)
■農業のコツは、こうした「土づくり」に加え、
商売としての努力が必要です。
横森さんは、仕事の合間に卸売市場に足を運び、
流通と販売店の情報を集め、市場が求める
安く安全な野菜を作る努力をしています。
・農業経営に最も大事なポイントは次の四つではないかと思う。
1 土づくりに投資する。
2 販売の努力をする。
3 企業的感覚を養う。
4 コスト削減の限界まで取り組む。(p173)
■こうした努力で、スーパーとの直接取引、
ブランド野菜の出荷を始めますが、
やはり壁となるのが「農協」です。
すでに「農協」は農家のためにというよりは、
現状の組織を維持するために活動しているのが、
実体というのです。
・スーパーとの直接取引も始まった。・・・農協の職員に「末端では
差別化販売を求めている。農協も品質によって価格を別にするなど、
臨機応変な対応をしていくべきではないか」と提案した。ところが、
農協の返事はたったひと言-「組織を乱すことになるのでやるつもりは
ない」だった。(p127)
■「農協」も「農水省」も期待できない。そうしたなかで、
横森さんは、「農協」にかわる農家を支援する組織として、
「信州がんこ村」という会社を作ったのです。
役所と農協には、これ以上、民間の努力を邪魔しないでほしいと
と感じました。
横森さんの農業への思いに圧倒されました。
★5つとします。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・大根が一本100円だとすると、農家の手取りは30円しかない。
残りの70円は、流通業者の利益、そして物流経費や梱包に必要な
資材費用に消えてしまっている。(p39)
・農協は、農家を完全に見捨てている。・・・多くの農協は、
農家の指導や農産物の販売といった「営農」には全く力を
入れていない。やっていることは「共済」や「金融」。
そして最近では、「葬祭事業」。(p190)
・国の農業政策もひどい。こんな例がある。私の近くの川上村で、
国の補助金で個々の堆肥場がつくられた。このような施設は常に
利用されているわけではないので、空いている冬に農業機械が置かれた。
すると会計検査院の監査で、本来の目的以外に使われているという理由で、
問題になったのである。この話は、いかに税金の有効利用が妨げられている
かを示すよい例である。(p239)
▼引用は、この本からです。
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手を取り合って
豊富な経験にもとづく農業経営物語
優れたビジネス本!【私の評価】★★★★★(96点)
■著者紹介・・・横森 正樹
1940年生まれ。63年から65年までアメリカで農業研修。
67年に結婚。電気部品を製造する。
農業への思いやみがたく75年に専業農家となる。
現在、「土づくり」を基本とした農業を展開し、
研修生の受け入れなど農家の育成に尽力。
─────────────────
■関連書評■
a. 「食品の裏側」安倍 司、東洋経済新報社
【私の評価】★★★★★
b. 「ニンジンから宇宙へ」赤峰 勝人、なずな出版部
【私の評価】★★★★☆
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