【書評】「病気になっても病人にならない生き方」 米澤佐枝子
2026/08/11公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(80点)
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要約と感想レビュー
三十代で末期癌と診断される
著者は三十代後半、癌で余命一年を宣告されました。そして四人目の医師から食事を見直すよう勧められ、玄米菜食を中心とした食生活を始めます。その後、自然療法を提唱する東城百合子氏と出会い、その料理教室で働き始めました。
東城先生についていくだけで精一杯の毎日。癌についてあれこれ思い悩む暇もなく、目の前の仕事に無我夢中で取り組みます。そして料理教室で働き始めて十年ほど経った頃、著者の癌は消えていたというのです。
病気のことばかり考えるのではなく、「今、この瞬間にできること」に一所懸命取り組む。その積み重ねが癌を消してくれたと、著者は回想するのです。
料理教室で働き始めて十年が訪れた頃、私の癌は消えていました・・・毎日がもう無我夢中で、やがて自分が癌だということも忘れていたのです(p25)
東城百合子氏の自然療法
東城百合子氏の自然療法は、単に食事を変えるというものではありません。食事を含めた生活そのものを見直し、病気のもとをつくった生活習慣から変え、健康な体をつくる「根っこ」を育てていくという考え方です。
具体的には朝はどのような気持ちで起きたのか。何を食べたのか。掃除や洗濯はきちんとできているのか。人とどのように接したのか。つまり、食事だけではなく、心の在り方や日々の生き方そのものを整えていくのです。
著者は毎朝五時に起きると、空に向かって「お父ちゃん、お母ちゃん、ばあちゃん、東城先生、おはよう!」と声に出して挨拶するという。食事は玄米菜食を基本にバランスよくいただく。掃除や洗濯をきちんと行い、人には笑顔で接する。健康とは食事だけではなく、心と行動の小さな積み重ねから作られるのでしょう。
東城先生も日頃は玄米菜食で小食でしたが・・・肉食を完全否定しているわけではないのです。菜食6と動物性4、病気の人は7対3くらいが目安(p134)
東城百合子氏の心の勉強
東城百合子氏の料理教室は、料理を学ぶだけではなく、「心」を学ぶ場所でもありました。
病気に悩む人に対して東城先生は、「あなたはその病気を通してなにを学びたい?」と問いかけました。また、「人はなぜ生まれてくるの?あなたはなにをしにこの世界へやってきたの?」とも問いかけていました。
せっかくいただいた命なのだから、病気のことばかり考えて生きるのではなく、今の自分にできることをやっていこう。人生はせいぜい百年。時間はあっという間に過ぎていく。悩んでばかりいたら、もったいないと伝えていたのです。
大切なのは「今」。この一瞬を喜んで生きるということなのです。
いのちは天が決めるのよ。あんたが決めるんじゃない。天に任せておけばいいの。突っ張り、やめなさいよ(p62)
病気になっても病人にならない
著者が現在、料理教室で伝えているのは、本のタイトルどおり「病気になったからといって、心まで病むことはない」ということです。病気になっても、「きっと良くなる」と明るく前向きに考え、自分が楽しいと思えることをするのです。例えば、花を見る。好きな人と一緒にごはんを食べる。音楽を聴く。絵画を鑑賞する。本を読む。
さらに、夢を叶えるための目標を持って生きる。体を動かし、笑顔で過ごす。そうすれば胃腸の調子もよくなり、ごはんもおいしくいただけるというのです。
著者の言葉を聞いていて、中村天風先生の「積極的な心」を思い出しました。中村天風先生も、当時は不治の病とされた肺結核に苦しみながらも、積極的な心と呼吸法で身体を整え、不治の病を克服しています。
「病気を治す」ではなく、「今日をどう生きるか」。病気になっても、今できることに一所懸命取り組み、楽しく、明るく活発に生きる。著者のメッセージは、そこにあるのだと思いました。米澤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「うちでごはん食べればいいよ。百姓だから米はあるから」祖母は実に太っ腹な人で、お腹をすかせた人を見るとそう言って、いつもごはんを食べさせていました(p37)
・祖母も日頃から同じようなことを言っていました。「人生はあっという間だぞ。佐枝子、その間、なにもしないことはない。必ずやれることがある(p185)
・あんた、栄養のバランスを考えてない。卵を食べることも必要なのよ・・・出汁だってカツオ節を使えば煮物も美味しいのよ・・・料理はね、心でつくるのよ(p55)
・「この人のために」と純粋に願うと、思いもかけない力が湧いてくることがある(p92)
▼引用は、この本からです

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米澤佐枝子 (著)、致知出版社
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第一章 いのちの根っこを養う
第二章 いのちは天が決める
第三章 心の新陳代謝をしてみよう
第四章 食
第五章 身体
第六章 生きる
著者経歴
米澤佐枝子(よねざわ さえこ)・・・1942(昭和17)年静岡県生まれ。相模女子大学食物学科で栄養学を専攻。卒業後、東條会館にて和洋料理のコック修業。結婚後、夫の赴任に伴いブラジルに渡っていた30代の頃、子宮癌を発症、余命1年と宣告を受ける。食事を変えるなど自然療法を始める。1958年自然療法の大家である東城百合子氏が立ち上げた「あなたと健康社」に入社、健康料理教室の講師を任される。講師をしながら、手術もせず薬にも頼らず40代で癌を克服。以来43年間、東城氏に師事し続けた。80代の現在も同料理教室の人気講師として活躍を続けている
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