【書評】「世界100カ国の旅で出会った人たちが教えてくれた 人生で大切なこと」旅人KAD
2026/07/31公開 更新
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
旅して学んだ人生の知恵
仕事を辞め、移住先を探しながら100カ国以上を旅してきた著者が、旅先で出会った人たちから教えてもらった人生の言葉を集めた一冊です。旅の場所と出会った人のキャラクターが、その場をイメージさせてくれるので、どんどん読み進めることができました。
著者が出会ったバックパッカーたちには、ラテン系が多い印象です。働くこと以上に大切なものがある、と考えている人たちです。
南米の小さな宿で出会ったアルゼンチン人バックパッカーは「僕にとって「稼ぐ」とは、次の美しい場所に行くためなんだ」と語ります。
バルセロナで出会ったフランス人は、掃除を手伝って宿を確保し、おばあちゃんに笑顔で話しかけたら晩ごはんをごちそうになったという話をしながら、「金があるとホテルしか見えない。金がないと人間が見える」と名言を口にします。
スペインのバルで赤ワインを片手に持ったおじさんが「休日に仕事?それは犯罪だ」と言い切るように、ラテン系の人たちは人生を楽しむことを最優先にしているのです。
イタリアのホステルで相部屋になったバックパッカー・・・俺は「主役を降りる練習」をしているんだ・・・人生を舞台とか映画だと考えたら、確かに主役じゃなくてもいい(p21)
ゲルマン系は論理的
一方、ゲルマン系の人たちの言葉は論理的で、自分のやっていることに意味を見出すという姿勢に見えます。
ドイツ人バックパッカーは、「許せない相手を許す」と語っています。その理由は、道徳的な話ではなく、「許せない相手に自分の人生を支配させないため」。憎しみに自分の時間とエネルギーを使うことこそが、自分の損失なのです。
ロンドンのカフェにいたイギリス人男性の言葉も自省的です。「「違う」を「嫌い」と間違いませんように、「苦手」を「嫌い」と間違えませんように、「わからない」を「こわい」と間違えませんように」。この自省の言葉は、「変えられるものと変えられないものを識別する知恵を与えたまえ」という言葉の変化形でしょうか。
パタゴニアのバーで出会ったスイス人数学者の言葉も重要です。「人生で大事なのは、答えを出すことじゃない。良い問いを持つことだ。楽しい答えが返ってくる問いを探せ」。問いを発すると脳はその答えを探し始めます。どんな問いを持つかが、その人の未来を形づくるということなのでしょう。
アイルランドの田舎町にある小さなパブ・・・若い頃はな、夢を追いかけて国を出たんだ・・・夢ってのは、つかめるかどうかよりも、追ってる自分を好きになれるかどうかなんだよ(p233)
宗教の役割
この本を読んでいると、宗教が果たしてきた意味も伝わってきます。タイの寺院のお坊さんが語った「悟りとは、「今ちょうどいい」と思えること」は、成功哲学の自己肯定感の到達地点でしょう。
ブルガリアの山奥の教会で修道士が語った「悩みは濁った水と同じ。置いておけば勝手に澄んでくる。焦らず待てば、服も乾く」という言葉は、時間が解決してくれるという知恵を教えてくれます。
バンコクの市場で出会った「祈る人」の「毎日祈っているのは、夢を忘れないようにするため。忘れなければ、いつかきっと近づける。でも、忘れたら、それで終わりだよ」という言葉も、成功哲学の言霊と暗示に近いと感じました。
このように宗教というものは、悩める人を救うための知恵を与えるという役割を持っているように感じるのです。
アマゾンの・・現地のシャーマン・・「自分を疑う声ほど強い敵はいない」(p45)
だれもが自分の人生を考えている
著者が出会ったさまざまな人たちに共通するのは、失敗と成功について自分なりの答えを持っているということです。
アメリカ人のサックス演奏者は「即興演奏のミスを曲の一部に変えられる人が成功する。人生も同じで、ミスを活かす人が成功する」と語ります。
モンゴルの遊牧民は「馬は自由すぎると群れを失う。人間も同じで、仲間がいるからこそ自由なんだ」と教えてくれます。
トルコ人は「紅茶に砂糖を入れすぎる人は人生も甘やかしがち。でも甘くしすぎない人は人生も楽しまない」と中庸の大切さを語ります。
この手の名言本は数多くありますが、著者が100カ国以上の旅の中から選りすぐったエピソードの質の高さが素晴らしいと思いました。旅人KADさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・タジキスタンで・・登山ガイドの男性・・・「怖いときは、景色を見ないで足元だけを見て歩くといい」・・・足元を見れば、一歩だけでいいって思える(p204)
・ニュージーランドで現地の友人と山を歩いていたときのことです・・・羊ってリーダーいるのかな・・・羊にはリーダーはいない・・・人間もリーダーが必要だと思い込むのは幻想かもしれないよ。大事なのは「最初に動く勇気」じゃないかな(p195)
・スリランカの宿で・・・ネパール人と夜通し話をした・・・「背中を見るときに寂しいのは、それだけその人が何かをしてくれた証だよ」(p115)
▼引用は、この本からです

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旅人KAD (著)、 ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 自分を解き放つ視点
第2章 人生を楽しむコツ 幸せの本質
第3章 仕事と人生の知恵
第4章 困難を乗り越える方法
著者経歴
旅人KAD(たびびと かど)・・・建築士を辞め、移住先を探して世界中を旅している。訪問国数100カ国以上。そこで出会った人々との対話から、人生で大切なことを学んだ。旅先での出会いと発見をSNSで発信し、多くの反響を呼ぶ
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