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【書評】「感奮(かんふん)語録」行徳 哲男

2026/06/02公開 更新
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「感奮語録」行徳 哲男


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー


自分のビジョンを取り戻す

1971年に日本BE研究所を設立し、米国の感受性訓練と東洋の禅を融合させた「BE(Basic Encounter)研修」を始めた著者による一冊です。


感動と奮起によって「感性=紛れもない私」を取り戻すための言葉を集めており、読者の奮起を促しているのでしょう。ビジョンを「法螺」と定義するように、周囲から「そんなことできるわけがない」と言われるような大きな想いこそが、人を突き動かすエネルギーの源泉だというのです。


キルケゴールの「私に欠けていたのは、本当に人間らしく生きることであり、あれこれ考えながらの生涯を送ることではなかった」という言葉も自分らしいビジョンの大切さを再確認させてくれます。


著者が強調するのは、「自分が自分として生きるための志」、「道を示してくれる師」、そして「魂を震わせる詩的な感受性」が大切ということなのです。


変化の時代には、三つの「し」を持て。「志」「師」「詩」(p34)

思考よりも挑戦的行動


本書が一貫して訴えているのが、思考より行動を優先することです。考えすぎることで人は動けなくなる。哲学は頭でするものではなく、肚というか体に沁み込ませるものだというのが著者の考えです。


冒険を恐れない人間の目は輝いており、人のやらないことに挑む情熱と姿勢こそがエネルギーにあふれている証拠だと著者は言います。


場の空気に合わせることが「和」ではなく、自分の主体性を保ちながら他者と共存することが本当の「和」だという解釈は、自分らしさの大切さを再認識させてくれます。


和して同ぜず。和とは同しないことなのである・・・主体的な人間にしか本当の和はない(p105)

燃えて狂うべし


本書のなかで最も著者らしいのが、「燃えて狂う」ということでしょう。


吉田松陰の「才能があって賢い人間よりも、愚かなほどに一つのことに燃えて狂える人間のほうが、周囲を引きつけ、歴史を動かす」という言葉を著者は紹介し、高く評価しています。


ダンテの「私は私の道を往(ゆ)く。人が何を言おうがそれは語る人に任せておけばいい」という言葉も、同じ意味でしょう。坂本龍馬が「自我狂」という文字を好んで書いたというエピソードも、同じことなのです。


「燃えることが生きることなのである」という言葉が、著者の伝えたいことの核心です。何かに燃えているときの人間は、その熱量が周囲を照らし、人を動かします。逆に、何にも燃えることなく冷めて生きることは、人としての輝きを失うことなのです。


その人間がどう生きたかは、何にどうときめいたか、何にどう燃えたか、の度合で決まる(p125)

苦難が人を育てる


本書の最初にキルケゴールの「野生の鴨」の寓話が出てきます。毎年飛んでくる野鴨に老人が餌を与え続けた結果、鴨たちは醜く太り野生の力を失ってしまい、老人が死ぬと野鴨も死んでしまうという話です。


快適さと安全は人の野生の力も奪います。苦難や逆境こそが人を鍛え、生命力を呼び覚ますというのがキルケゴールの伝えたいことなのでしょう。「水と平和が「無料」だと思っている日本人」が、野鴨とならないように警鐘を鳴らしているのです。


「四面楚歌こそ最高である」という言葉も、攻撃を受け、追い詰められたときにこそ人は生きていると感じられるというプラス思考的な捉え方です。本書は、著者が長年の研修活動を通じて伝えてきた言葉を並べたものなのでしょう。


そういう意味では、全体的に体系化されていないので、★3としました。行徳さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・四面楚歌こそ最高である・・・攻撃を受けたときは、生きていることが最も鮮烈であるというのである(p133)


・自分を粗末にする人間には目の輝きがない。生き生きと行けていけない(p102)


・燃えているときには仏になる。冷めている人間はサタンである。燃えることが生きることなのである(p125)


・わが師田里亦無(たさと ありむ)先生は「禅とは何ですか?」という私の問いに、「忘れることだ。忘れ去ることだ。また、捨てることだ、捨」(p92)


▼引用は、この本からです
「感奮語録」行徳 哲男
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行徳 哲男 (著)、致知出版社


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次


第1章 哲学なき時代の行方
第2章 活力の覚醒
第3章 人間の魅力
第4章 前後裁断
第5章 紛れもない私を生きる
第6章 燃えよ!戦え!
第7章 自分と出会う
第8章 融通無碍の世界
第9章 忘れ難き人々の言葉


著者経歴


行徳哲男(ぎょうとく てつお)・・・1933(昭和8)年、福岡県に生まれる。35年某財闘系企業において労使の粉争事件で衝撃的な体験をする。1971(昭和46)年、日本BE研究所を設立し、米国の行動科学と感受性訓練を東洋の禅と融合した哲学的訓練を創始。"感性=粉れもない私"を取り戻す研修「BE研修」を行う


感性関連書籍


「感奮(かんふん)語録」行徳 哲男
「意志の力・愛の実力」芳村思風
「BQ~次代を生き抜く新しい能力」林野宏


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