人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」エリック・バーカー

2024/06/21公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」エリック・バーカー


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

ギバーに囲まれたギバーを目指す

「残酷すぎる成功法則」というタイトルでしたが、思ったより常識的な成功法則でした。


まず、人生で成功するためには信頼関係が必要となります。例えば、会社組織では上司の評価があなたの出世を決めることになります。この本では、ギャングでさえもメンバーの信頼関係が重要であると説明しています。したがって、成功するためには他人との信頼関係を重要視する利他的なギバーである必要があるのです。


ところが、ギバーには成功している人と、テイカーに奪われるだけの人がいることが知られています。ギバーの周りには、人から奪うだけのテイカーが集まってきます。そのようなギバーはテイカーを助けるために消耗し、テイカーに業績を横取りされ続けてしまうのです。


テイカーが成功するためには、周囲のテイカーを減らして、ギバーを増やす必要があります。そのために、ゲーム理論のしっぺ返し戦略を採用することです。つまり、初対面の人には協調し、相手が裏切ったら、その人から離れるのです。


ゲーム理論・・勝利したのは単純なしっぺ返し戦略だった・・早い段階では貧乏くじを引く・・毎回協調を選んでくれる相手と出会うと、利得の総和は莫大となる(p77)

大丈夫なんとかなる

次に成功するためには、自分の能力を高めるために、継続し続ける力、逆境にも諦めない忍耐力が必要となります。忍耐力がある人の特徴は、「ポジティブなつぶやき」を持っていることだという。つまり、「だいじょうぶ、なんとかなる」と自分を励ますのです。


また、人のため、社会のため、国のためといった自分よりも別の崇高な使命やストーリーがあると、人は逆境に耐えられるという。例えば、幸せな病院の清掃スタッフは、掃除という作業が患者の回復に貢献しているというストーリーを信じているのです。


ナポレオンはこう言った。「兵士は、わずかばかりの色つきリボンのために、延々と命がけで戦うようになる」(p131)

運のいい人の性格

この本では、運のいい人の性格を紹介しています。ワイズマンの調査では、運のいい人は、新しいことに積極的に挑戦し外向的で、神経質でないという。運のいい人は、失敗したとしてもくよくよ悩まず、悪い出来事から学び、次の一歩を踏み出すというのです。


もちろんうまくいかないことをそのまま継続しても同じ結果が出るだけです。やり方を変えるか、もっと生産的なことに変えるか、自分がもっとやりたいことに変えるなど方針転換していくわけです。この本では結論として、小さい実験をたくさん試してみて自分に合った良いものがあれば、それを継続することを推奨しています。


単純に量の多さが質の高さにつながる・・しくじったものは棄て、脈アリなものにはグリットを発揮すべきだ(p152)

幸せをお金で測ることは望ましくない

最後は、幸せの定義です。この本では、人生の成功の定義を一つの測定基準(お金)だけで測ることは望ましくない戦略であるとしています。生きていると、人はどうしても儲かる、儲からないという基準だけで判断してしまうことがあるという。もし本当に正しい選択をしたいなら、それ以外の選択肢を自分で考え出すしかないというのです。


この本の推奨する幸福の測定基準は、幸福感=楽しむこと、達成感=目標を達成すること、存在意義=他者の役に立つこと、育成=伝えることです。問題は、だれでもお金だけで幸せになるわけではないと知っているけれども、お金以外のものが何なのか、それを得るにはどうすればいいのか、誰もはっきりとわかっていないことなのです。


やっぱり最後はそこに行きつくのだな、と思いました。まずは、感謝と謙虚に自分と向き合って、自分の選択肢を考えたいものです。バーカーさん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・宝くじ・・世の中には、不思議なことに、「1等がたくさん出た売り場に行けば当たりやすい」と行列をつくるひとがたくさんいる(p4)


・人びとは、失敗したことより行動を起こさなかったことを二倍後悔するという。なぜだろう?私たちは失敗を正当化するが、何も試みなかったことについては、正当化できないからだ(p146)


・ネットワークをつくる手っ取り早い方法は・・・長年の友人たちとの旧交を温めることだ・・再び、幼稚園に戻ってみよう(p200)


・モルドバ人はたいがいをまったく信用しない・・あまりに多くの学生が教師に賄賂を渡して試験に合格するので、国民は35歳以下の医者にはかかろうとしない(p58)


▼引用は、この本からです
「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」エリック・バーカー
エリック・バーカー、飛鳥新社


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

序 章 なぜ、「成功する人の条件」を誰もが勘違いしているのか
第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?
第2章 「いい人」は成功できない?
第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?
第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか
第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?
第6章 仕事バカ...それとも、ワーク・ライフ・バランス?
結 論 本当に人生を成功に導く法則は何か



著者経歴

エリック・バーカー(Eric Barker)・・・大人気ブログ"Barking Up The Wrong Tree"の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、『残酷すぎる成功法則―9割まちがえる「その常識」を科学する』は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: