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「ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために」ドリー・クラーク

2024/03/14公開 更新
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「ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために」ドリー・クラーク


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

欧米はお金に最適化されている

ビジネススクールで企業幹部養成育コースを教えていた著者は、連日、移動しながら講演・講習をこなしていました。同時に書籍や雑誌への執筆、人脈づくりと忙しい毎日を続けていたのです。時間に追われる中で、著者は自分の時間を切り売りして金を稼いでいるだけだという事実に気づくのです。「私はなぜ、こんな人生を選んでしまったのだろう?」と衝撃を受けた著者は、2016年にオンラインコースを立ち上げています。


著者は欧米社会は「お金」に最適化されており、できるだけお金が稼げる仕事を選ぶ傾向にあるとしています。そのため、「自分にとって本当の成功とは何か?」とよく考えずに人生を選択している人が多いのです。著者もお金と名誉のために、講演家として自分の時間を切り売りしていたのです。声がかかればどこにでも行って話をしていたので、自分の時間さえなくなっていました。


著者の提案は、他人の要求を優先するのをやめ、自分の成功の定義を決めて、自分のペースで生きることです。人生の「意義」に最適化する人生を提案しているのです。


欧米社会で最も優先されるのは、たいてい、「お金」に最適化することだ・・「意義」に最適化する人生はどうだろう(p79)

ビジョンは時間をかければ達成できる

タイトルのロングゲームとは、自分のビジョンに忠実になることです。自分にとって「意味のある人生」を定義し、それを追求するのです。そして目的達成までに時間がかかること(ロングゲーム)を、覚悟しなくてはなりません。途中で出てくるであろう誘惑に負けず、不安の中で、価値のある将来の目標に向かって努力を続けることなのです。


著者は当時は珍しいオンラインコースを立ち上げたし、転居したニューヨークで一流エキスパートの交流会を作りました。難しいと思っても一歩踏み出した著者の行動力が素晴らしいと感じました。著者の主張は、今、無理と思われる目標は、今だから無理に見えるのであり、時間をかければ、実は欲しいものはほぼすべて達成できるということなのです。


あなたは、「結果がまったく保証されていない状況で、それでも、努力する意思はあるのか?」という問いを突きつけられている(p19)

目的を忘れないこと

プロ野球の外国人選手が子供の出産があるとシーズン途中でも帰国するのを見ていて、アメリカ人は家族との時間を大切にするのが当たり前なのだと思っていました。しかし、それは違うのです。この本では、月に2万ドルのオファーを娘と会えなくなるので断った人の例が出てきます。アメリカでも家族を取るのか、仕事を取るのかということで葛藤があるのです。


そこであえて、自分の家族を大切にするという価値基準を優先するということなのです。「何を選択するのか」という視点で日本とアメリカではアメリカのほうが自由な人が多いのではないかと感じました。日本では大きな流れに逆らわない人の比率が多いように感じるのです。


最初の目的を忘れないこと・・自分はどんな人間になりたいかということ(p229)

バカげた目標を掲げよう

自分らしい人生を考えてみようと思いました。この本ではライターとなって、労働時間は週に30時間前後で、毎年7月と12月はひと月バカンスに出かけている家族の例が出てきます。また、本を読むために、本のコーチを雇って、週に1冊の課題図書を決め、金曜夜にその本について1時間かけて議論している人も紹介されています。


著者の「バカげた目標は今だからバカげた目標に見える」という言葉の意味をよく考えたいと思います。クラークさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・たくさんのことに興味があるという人は、「自分の興味に最適化する」という方法をおすすめする(p80)


・映画「マリオン・ストッダート:1000の仕事」・・母親は旅立つ娘を呼び止めると、最後に一つのアドバイスをした。「何をすべきか迷ったら、いつも面白そうなほうを選びなさい」(p82)


・たいていの人は、真剣に練習すれば2週間くらいで逆立ちができるようになると考える。しかし実際は、半年間、毎日練習することが必要だ(p267)


▼引用は、この本からです
「ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために」ドリー・クラーク
ドリー・クラーク 、ディスカヴァー・トゥエンティワン


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

パート1 余白
第1章 私たちはなぜこんなにも忙しいのか?
第2章 魅力的なことに対しても「ノー」と言う
パート2 集中
第3章 正しい目標を設定する
第4章 新しいことに挑戦する
第5章 波で考える
第6章 戦略的レバレッジ
第7章 正しい人々、正しい部屋
パート3 信念
第8章 戦略的忍耐
第9章 失敗を再定義する
第10章 収穫する



著者経歴

ドリー・クラーク(Dorie Clark)・・・デューク大学フクア経営大学院とコロンビア大学ビジネススクールのエグゼクティブ教育コースで教鞭を執る。グーグル、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界銀行などをクライアントにもち、講演やコンサルティングを行う。 2年に1度発表の、世界で最も影響力のある経営思想家ランキング「Thinkers50」に、2019年、2021年、ランキング入り。マーシャル・ゴールドスミス・リーディング・グローバル・コーチ賞が選ぶ世界ナンバーワン・コミュニケーション・コーチ。グローバル・グルが選ぶ世界トップ10コミュニケーション・プロフェッショナル。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌のレギュラー執筆者。大統領選挙キャンペーンのスポークスパーソンも務めた。グラミー賞を複数受賞したジャズアルバムのプロデューサーの顔ももつ。 ハーバード大学神学大学院卒。


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