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「金儲けのレシピ」事業家bot

2023/12/27公開 更新
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「金儲けのレシピ」事業家bot


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

焼肉とIKEAの共通点

数多くの新規事業を立ち上げてきた著者に、世の中のビジネスの儲けの構造を教えてもらいましょう。まず外食産業を見てみると、店舗ビジネスは初期投資が大きく、損をするときは大損するが、うまくいってもボロ儲けにはならないとしています。


その上で、クレープ屋、タピオカ屋、パンケーキ屋は、「砂糖、小麦粉、脂肪」といった中毒性のある粉をオシャレっぽい雰囲気で客に食べさせる商売としています。「砂糖、小麦粉、脂肪」は原価が安く儲かるのです。


「俺のイタリアン」と「いきなり!ステーキ」の比較も面白い。「俺のイタリアン」は、立ち食い高回転、ワインが普通の原価率で売れる、技術を持ったシェフを安く雇えるという3つの戦略を持っているとしたうえで、「いきなり!ステーキ」は高回転だけが特徴であり、差別化できなかったと評価しています。


また、焼肉は「客に作業を押し付ける」人件費を圧縮できるビジネスであり、客が製品の組み立てをするIKEAと類似性があるとしています。なるほど!


俺のイタリアン・・3つ星レストランなどで丁稚的に働いている安月給の人間を雇う(p101)

ほけんの窓口とライフネット生命の比較

私が膝を打ったのは、「ほけんの窓口」と「ライフネット生命」の比較です。ライフネット生命のビジネスモデルはネットで完結させることで、中間マージンを削減して安価な保険を提供することです。ところが「ほけんの窓口」と「ライフネット生命」の業績を見てみると、ほけんの窓口は売上高利益率20%の好業績であるのに対し、ライフネット生命は同マイナス16%の赤字なのです。


保険とは基本的に統計的データに基づいて設計されているので、どこの会社から買ってもあまり変わらない商品です。ライフネット生命は店舗を持たないネット直売なので低コストで安価な保険を提供しているのに、店舗を持ち保険を紹介するだけの「ほけんの窓口」のほうが儲かっている。著者は、「ほけんの窓口」は保険を比較検討できない情報弱者を集めて、手数料の大きい割高な保険を売りつけているのではないかと推測しています。


このように適正価格がわからない人を相手にする商売が、儲かるのです。類似のものとしてはブックオフの本の買い取り、ガリバーの車の買い取りがあります。ブックオフに古本を持っていって、希少価値のある本が含まれていても、適正価格がわからなければ数百円を提示されれば売ってしまうのです。


まったく同じではありませんが、数億、数十億円単位のBtoBビジネスでは、外注している会社が100万円単位の支払いまで細かくチェックすることは難しいのです。過去の実績や業界の相場で決まることが多いので、高い利益率を容易に確保できる可能性が高いという。


「来店型保険ショップ」では、中立を装いながらも、保険会社からのバックマージンが大きい特定の保険をゴリ押し販売しているのではないか?(p94)

金を払わせることでコミットメントを迫る

私は無形商材に興味を持っているのですが、著者は無形商材を売るときのポイントとして、有形商材らしくする、購入後の成果を想像させる、課題解決として提案することを挙げています。これはRIZAPなどに行ってみると、まったくその通りであることがわかります。


著者が率直にビジネスの本質を語るところに、好印象を持ちました。無駄なところがないのです。それは書籍もビジネスも本質を押さえてさえいれば、十分であると著者が考えているからなのでしょう。事業家botさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・スモールメリット・・人材紹介エージェント・・強いプレイヤーが1人で個人商店として営業するのが一番効率がいい(p46)


・カードゲーム・・・紙に絵柄を印刷しただけのものが数百円~数千円で販売されており、ほぼほぼ紙幣を印刷しているのに近いようなビジネス(p75)


・謎の資格を作る・・「日本漢字能力検定」は、元々は松下電工の社員であった大久保昇氏が独立して立ち上げた民間資格であった(p125)


▼引用は、この本からです
「金儲けのレシピ」事業家bot
事業家bot、実業之日本社


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

商売の原理原則
消費者から買う
客に作業させる
まとめると高くなる、切り分けると高くなる
1:n構造を作る
両方から金をもらう
合法的に麻薬を売る
確率をいじる
空気を売る
意思決定に介入する
仕入で儲ける
他人の財布を狙う
高いものはいいものだ
勝手に「権威」になる
信者ビジネス
究極のレシピ



著者経歴

事業家bot(じぎょうかぼっと)・・・東京大学在学中に起業、のち中退。フランチャイズチェーン企業に事業売却後、売却先企業にて、新規事業及び経営企画管掌の役員を務める。再度起業し、現在年商10億円以上の企業を経営。起業しビジネスを作っていくプロセスの中で、「金儲け」のノウハウが確立していないこと、既存のビジネス書があまり当てにならないことを痛感し、「金儲けのノウハウ」をまとめることを決意。twitterのフォロワーは約3万3000人。


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