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「哲学の先生と人生の話をしよう」國分功一郎

2023/02/14公開 更新
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「哲学の先生と人生の話をしよう」國分功一郎


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

日頃から自分の心の状態を人に話す

哲学の先生が、人生相談するという企画です。相談者は20代から30代がほとんどで、相談の内容も恋人、配偶者、親との関係など重いものが多い印象でした。


まず、気づいたのは相談者が自分の状況を正しく把握しているのかどうか怪しいということです。例えば、自分のことばかり説明していて、相手のことがあまり書いてない相談者は、現状を正しく把握しているのか疑わざるをえないのです。


そもそも、不満や不安などを人に相談するということは、慣れていない人にはとても難しいこと。だからこそ、日頃から自分の心の状態を人に話す訓練が必要なのです。親戚の伯父や伯母や友人など、誰か話をじっくり聞いてくれて理解を示してくれる人を確保しておくとよいのではと感じました。職場でも上司との意思疎通ができていれば、問題のある先輩がいたとしても、穏便に上司に相談することができると思うのです。


どんな悩み(問題)です。も一般的・抽象的である限りは解決しない(p172)

悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい

また、自分の心というのは本当にわからないものであると実感しました。例えば、人間は「悲しい」と感じるから泣くのではなく、泣くから「悲しい」と感じるという研究結果があるのです。


また、誰にでも自己顕示欲があると思いますが、誰かに気にかけてもらいたいという気持ちが強いのは心に不満を抱えているということです。人はいつも「心の穴」を埋めてくれる人を探しているわけです。


一方で、モノや偶像に熱中することで、「苦手な人間関係から逃げている」現実を認めるのを避けているオタクもいます。


「高級ソープ通いをやめるべきでしょうか」という質問に対しては、著者はそれで別にいいと思いますと回答しています。けれど、実は罪悪感を覚えているのにそれを隠そうとしていることについては、「自分に嘘をついている」ということで良くない状態であると解説しています。本当に人の気持ちとはわからないものなのです。


人間の気持ち・・心身の状態によって簡単に変化する・・病気にかかると世界が全く別様に見えます(p148)

人の心の不安定さと不思議さ

人生相談とは、相談者が良い方向に向かうように配慮するものと思いますが、一部、相談者をこき下ろしているようなところがありました。はっきり言ってあげたほうが良いケースもありますが、そうでないケースもあり占いではないので慎重であるべきなのでしょう。


著者の回答は哲学者というより心理学者という印象で、人の心の不安定さと不思議さを感じました。國分さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ガリ勉は勉強ばっかりしているから問題なのではなく・・・勉強しておけば大丈夫なんだという"信仰"をもっている点がまずいのです(p23)


・人間性は変わらないけど、成長はするんです(p247)


・どうすれば前向きに語学を学ぶことができるようになるでしょうか・・やはり問題は欲望なのですよ!そこまでやりたいか(p83)


・よい結婚相手との出会い・・・運命の出会いなんてのは、ほとんどないんです・・僕はお見合いをかつてのように盛んに行うべきだという立場です(p167)


▼引用は、この本からです
「哲学の先生と人生の話をしよう」國分功一郎
國分功一郎、朝日新聞出版


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第一部 愛、欲望、そして心の穴
第二部 プライドと蔑みと結婚と
第三部 仕事も情熱も相談も



著者経歴

國分功一郎(こくぶん こういちろう)・・・1974年千葉県生まれ。哲学者、東京大学総合文化研究科・教養学部准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・現代思想。


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