「あなたの人生はいくらですか？」加藤賢治

【私の評価】★★★☆☆（71点）

要約と感想レビュー

　生涯収入は、自分の選んだ会社や職業によってだいたい決まります。もちろん自分の好きなことを仕事にすることがベストかもしれませんが、給料がこんなはずではなかったというのも困ります。この本では一般的な職業の年収や、仕事の特徴を説明してくれます。例えば、公務員や大きい企業の会社なら年収700万円弱、中小企業なら500万円くらいです。少ないようですが安定した仕事と言えるでしょう。

　一見華やかなプロ野球選手やお笑い芸人は成功すれば大金が手に入りますが、成功する確率は低いのです。例えば、高校卒業後に直接プロ入りした選手で1年目の開幕を一軍で迎えたのは2％しかいません。お笑い芸人も、吉本NSCへの入学者数は毎年全国で1000人を超えますが、テレビで人気が出るのはせいぜい2～3組と狭い門なのです。

　世の中には大学院博士課程修了後、限られた期間の雇用契約のない博士研究員（ポスドク）という不安定な身分に苦しんでいる人もいれば、同業者が増えすぎて困っている歯科医師や弁護士といった職業もあるのです。警察官だって、交番は3交代制の不規則勤務で、当直があって、拘束時間も長く、家族と過ごす時間が少ないという現実があるのです。

　こうした情報をしっかり理解したうえで自分の将来を計画したほうが、「こんなはずではなかった」ということがないようにしたいものです。加藤さん、良い本をありがとうございました。

この本で私が共感した名言

・科目別開業医の平均所得・・内科：約2460万円、皮膚科：約2709万円、整形外科：2989万円、小児科：約3068万円、産婦人科：4396万円、眼科：1511万円、耳鼻咽喉科：1890万円、精神科：2588万円、外科：1927万円（ｐ15）

・相撲力士・・・1989年から2017年までに入門した新弟子は合計3280人で、そのうち関取になれたのは2017年時点で261人で、その確率は7.9％（ｐ43）

・競馬の賞金の配分・・馬主：80％、調教師：10％、厩務員：5％、騎手：5％（ｐ67）

・漫画家の主な収入源・・1ページあたり4000円～7000円から、2万円～3万5000前後まで幅広い。・・・単行本の印税・・一般的には8％～10％（ｐ77）

・声優業界のランク制・・30分のアニメなら、新人は約1万5000円、大御所のベテラン声優は約4万5000円が相場だという（ｐ85）

▼引用は、この本からです

【私の評価】★★★☆☆（71点）

目次

第１章　個人の職業人生
第２章　転職と兼務の展開
第３章　女性目線の夫婦所得

著者経歴

　加藤賢治（かとう　けんじ）・・・1957年埼玉県生まれ。30年ほどシステムエンジニアとして働き、「猫はこう語った」で文壇デビュー。

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