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「KGBスパイ式記憶術Spyschool」デニス・ブーキン、カミール・グーリーイェヴ

2022/07/14公開 更新
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s「KGBスパイ式記憶術Spyschool」デニス・ブーキン、カミール・グーリーイェヴ


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

 本書の内容は、実話に基づいたロシアの諜報部員養生カリキュラムです。プーチンも学んだであろう記憶術を中心に見ていきましょう。


 記憶力を向上させるためにはイメージの力を活用しなくてはなりません。ある記憶力の高い人を調査したところ、その人は覚えるべきことを視覚的イメージに変換して地元の街の通りの情景に置いていたといいます。つまり、数字であれば1は棒、2はアヒル、8は女というように数字をイメージしやすいものに変換し、そのイメージを織り込んだ冒険のような刺激的なストーリーにして記憶するのです。


・視覚的イメージに変換していた。例えば、数字の1は体格のよい堂々とした男、6は足の腫れあがった男、8はでっぷり太った女、という具合だ(p56)


 日本の学校では知識しか教えませんが、ロシアのスパイ学校では覚え方を教えていることが印象的でした。スパイは証拠を残してはいけないので、紙に書いたものや記録を残しません。頭の中に記録しておくのです。では、いかに記憶していくのでしょうか。それはストーリー記憶術であり、場所記憶法であり、物事をイメージに変換し、ストーリー化したり場所に置いたりするのです。


 スパイの場合には、偽装潜入に使うカバーストリーを完璧に記憶して常時引き出せなくてはなりません。ファーウェイの副会長のように複数の偽造パスポートを持っている場合もあり、複数のカバーストーリーを記憶することもあるのです。二重スパイとなると、2つの組織に対して矛盾のない行動をとらなくてはならないので、さらに記憶すべきことは、複雑となるので、イメージとして覚えている部分も多いのでしょう。
 

・キケロも自分が行う演説を覚えるときには場所記憶法を使っていた・・・それぞれの部屋に特定のテーマはアイデアを関連付けていた(p154)


 この本を読んで、諜報機関の分析官は、集めた情報をインテリジェンス化するために、ビジネスマンと同じように仮説を立て、導き出された結論を検証のための実験を行っていることがわかりました。諜報機関の分析官は自国の国益のために、敵国の動きから工作活動や秘密作戦を見抜き、それを阻止する妨害活動を計画し、実行するのです。


 タイトルは記憶術となっていますが、内容はロシアのスパイ養成プログラムで、記憶術は4割程度でしょうか。スパイ大作戦のように「なお、この記録は自動的に消滅する」ので記憶が大事なのです。


 ブーキンさん、グーリーイェヴさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・マーク・ウォーカー・・・年とった男がしかめっ面で、歩行器(ウォーカー)を押しながら出てくる。男は紙に赤いマーカー(マーク)で・・・書き・・(p260)


・ストーリー記憶法・・・おかしなストーリーであればあるほど単語のリストが強烈に記憶に残る(p100)


・家で何かをなくしたら、それは記憶をよみがえらせる訓練・・・なくした物をどのように使い、そのあとどうしたか?(p79)


・繰り返し行う行動のチェックリストを作っておけば、時間とエネルギーを節約できる(p307)


・モーツァルトは、一度聴いただけの曲を複雑な楽譜に書き起こすことができた(p25)


・エージェントに向く職業は、ジャーナリスト、ビジネスマン、教師、科学者、美術評論家、収集家など、交流範囲の広い仕事である(p281)


▼引用は、この本からです
「KGBスパイ式記憶術Spyschool」デニス・ブーキン、カミール・グーリーイェヴ
デニス・ブーキン、
カミール・グーリーイェヴ、水王舎


【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

序章 スパイの道
第1章 CHIS(密告者)
第2章 ケースオフィサー(工作担当官)
第3章 非常勤エージェント
第4章 派遣エージェント
第5章 工作員
第6章 分析官
第7章 二重スパイ



著者経歴

 デニス・ブーキン(Denis Bukin)・・・経済学者、経営者、心理学者。サンクトペテルブルク工科大学経済学部卒。ロシアのコンサルティング会社・Empatika社の共同経営者でありコンサルタント


 カミール・グーリーイェヴ(Kmail' Guliev)・・・写真家。現代美術学校「インディペンデント・ワークショップ」(モスクワ市近代美術館主催)を修了


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