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アシックスの創業の歴史「転んだら起きればいい!―若き起業家たちへ わが体験的企業経営論」鬼塚喜八郎

2020/12/13公開 更新
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「転んだら起きればいい!―若き起業家たちへ わが体験的企業経営論」鬼塚喜八郎


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

バスケットシューズの開発に注力

アシックスといえば日本のスポーツシューズの大企業ですが、戦後、鬼塚氏がスポーツ振興のために起業した会社です。まったく技術もノウハウもない中で、若者が売春や麻薬やタバコ売りなどの人生の落語者となっている世の中をスポーツで変えたいと思ったのです。普通の人が聞いたら妄想と思われるくらい、理想を掲げて起業したことがわかります。


鬼塚氏は当初、高校生向けバスケットシューズの開発に注力しました。バスケットシューズからシェアを拡大して、徐々に製品を増やし、成長していったのです。途中、倒産の危機がありますが、そうした使命感に共感してくれる人々に助けられます。

 
スポーツ界に貢献する道はさまざまだが、スポーツシューズを作ってみたらどうか・・・子どもたちは困窮の谷間にある。裸足でボールを蹴って足を痛めたり、地下足袋で陸上競技に出たり、とにかくよい靴がない。よい靴さえあれば、もっと記録が伸びる・・・わかった、堀さん。よし、俺はやってやる(p45)

創業から3年間赤字続き

興味深いのは、創業から3年間赤字続きで、3日後の取引先の手形が落とせなくなったとき、鬼塚社長は取引先に謝りに行って、自分が取引先の社員になって働って返済するので、手形の決済を待ってほしいとお願いしたというエピソードでしょう。


また、多角化の失敗で会社が倒産しそうになったとき、すぐに退職したのは中途入社の社員であり、残って頑張ってくれたのは社長の使命感に共感した叩き上げの中堅社員であったというのです。


どんな会社にも調子の良いときもあれば、悪い時もあるのです。調子の悪いときに倒産せずに生き延びることのできた企業となるためには社員の「使命感」が必要なのだと思いました。危機において会社を支えてくれるのは「使命」に共感してくれる社員なのです。鬼塚さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・靴を開発する時に私は、なぜこれができないのか。なぜだ、なぜだ、できる方法はないものかと、必ず寝る前にそれを考える・・・つまり、潜在意識に絶えず呼びかけ、問題意識を叩き込んでおくわけだ。そうすると不思議なことに、ある時、潜在意識の中で、ちょっとしたきっかけから新しい発想が生まれてくる(p81)


・「企業は公器である」というのが私の考えであり・・・自分の株式3割でいい。そこで、あとの7割は社員に還元したいと考えた(p104)


・多角化からの撤退作戦を敢行した・・・希望退職を募った・・・接ぎ木人事で入社した重役たちが次々と辞めていったのだ・・・逆に私の経営方針を支持してくれたのが、中堅クラスの若手の社員たちだった(p116)


▼引用は、この本からです
「転んだら起きればいい!―若き起業家たちへ わが体験的企業経営論」鬼塚喜八郎


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第1章 人類の祭典、オリンピック
第2章 スポーツシューズに賭けた夢
第3章 キリモミ商法
第4章 企業を活かす知恵と決断
第5章 危機管理
第6章 体質改善
第7章 総合化への道
第8章 攻めの経営、守りの経営
第9章 技術革新



著者経歴

鬼塚 喜八郎(おにつか きはちろう)・・・ 1918年(大正7年)生まれ- 2007年(平成19年)没。アシックス創業者。


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