リクルートの仕事術「仕事をしたつもり」海老原嗣生
2020/09/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
大量の資料は仕事をしたつもり
世の中には「仕事をしたつもり」が、氾濫しているという。「仕事をしたつもり」とは、「形」だけで「中身」がない仕事のこと。
例えば、社内会議で配られる細かい説明の書きこまれた大量の資料は、まさに「仕事をしたつもり」。質はともかく量を増やすことで「私は仕事をしている」というアリバイ作りをしているのです。
文字がびっしり書き込まれた数十枚の資料が配られるたびに、「ああ、またか」と辟易し、資料を読み上げるだけの会議が終わる(p30)
日常業務に忙殺されて仕事をしたつもり
特に「仕事をしたつもり」が、ひどいのがお役所だという。例えば、「ハコモノ」は建物やインフラさえ作れば仕事をしたことになるから、どんどん作られる。
また、児童相談所は問題家庭を訪問すれば非難されることはないから、すべての家庭を訪問しようとするので危ない家庭がおそろかになる。要は実際の成果よりも批判されない証拠を残すことが大事なのであり、実際そういう人が出世する構造となっているのでしょう。
昔であればパソコンがありませんから、手書きのメモで会議・討議が行われていました。現在は社内の会議でさえパソコンにより、「きれいな」書類が必要となり、そのために社員は無駄に残業をしているのです。
大切なのは「形」ではなく「中身」・・・児童相談所の職員の多くは、ひとり当たり200件以上の問題家庭を抱えていて、日常業務に忙殺されている・・・均等に「200家庭を全件訪問」することが目的化しているため、超要注意の「0.7~1.4件」が見落とされてしまっている(p79)
残業している人が評価される
民間企業の職場でも、成果よりも残業している人が評価される傾向があるといわれています。そもそも残業する人には、残業手当が支払われます。さらに、毎晩10時まで残業する人は、「そこまで頑張ったのであれば、この業績でも仕方ない」と言われ、逆に定時退社の人は、「もっと頑張れたのでは」と叱責されたりするのです。
いくら成果を出していても毎日定時に帰るような人は、周囲の人からの妬みで潰されてしまうこともあるのでしょう。これは個人レベルでは解決が難しく、京セラのアメーバ会計のように「労働時間当たりの付加価値」を会社の指標にするような工夫が必要なのでしょう。
著者の提案は、このような「仕事をしたつもり」を半分にすることです。浮いた時間の半分は余暇に費やし、残りの半分の時間を、真剣に考えることに費やすのです。海老原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・街に氾濫する「仕事をしたつもり」コピー・・・「がんばろう!日本」「こだわりランチ」「うまいラーメン屋台の味」(p62)
・なぜ、チャリティと名がつくと相場より安くなるのか?・・・「多くのお金を寄付する」という目的がないがしろにされる・・(p106)
・トヨタユニバーシティーを真似た教育プログラムを作ったところで、なんの意味もない・・・トヨタには、"教え合い""競い合い""助け合う"風土があるから、この仕組みが生きるのです(p86)
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 何十枚も資料を作って、それで仕事をしたつもり?
第2章 流行のビジネスモデルを学んで、それで仕事をしたつもり?
第3章 みんなで一緒に考えて、それで仕事をしたつもり?
第4章 業界トップの真似をして、それで仕事をしたつもり?
第5章 「お客様は神様です」とへりくだって、それで仕事をしたつもり?
第6章 新しいことにチャレンジしないで、それで仕事をしたつもり?
終章 「仕事をしたつもり」からの抜け出し方
著者経歴
海老原 嗣生(えびはら つぐお)・・・1964年生まれ。リコーを経て、リクルートエイブリック(2006年にリクルートエージェントへと名称変更)に入社。系列のリクルート ワークス研究所で『 Works 』編集長。2008年に人材コンサルティング会社・ニッチモを設立。リクルートエージェント社のフェロー(客員社員)第1号となり、リクルート発行の人事・経営専門誌「Hrmics」の編集長を兼務する。
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