「分断の時代 混迷する世界の読み解き方」岡部直明
2019/10/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★☆☆☆☆(59点)
要約と感想レビュー
日本経済新聞社の専務まで務めた著者の一冊です。タイトルとはちがって世界を読み解きにくくしているという印象でした。中国と経済的に対立することは難しいと主張しており、ブレグジッドはありえないなどとしていますが、その背景・理由を説明していません。根拠が薄弱なのです。
・中国に対峙するのではなく、経済での協調をめざすべきだ。中国経済の停滞は日本経済の凋落に直結する。すでに定着している日中経済の相互依存をさらに深めるしかない(p41)
なぜ英国はブレグジッドをしようとしているのか、なぜ米国は中国を攻撃しているのか、なぜ理由はっきり書かないのか。意図的なのか、意図がないのか含めて論理的に疑問が多い一冊でした。最後に役所の不祥事を「安倍一強政治」が原因だ、と批判しているのも不自然でした。
岡部さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・グローバル経済の相互依存が深まるなかで、「中国封じ込め」はあまりに現実離れしている(p26)
・自由貿易を立て直すには、TPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を結合させるしかない(p48)
・核兵器廃絶こそ唯一の被爆国の外交の基本でなければならないのに、核軍拡競争を招くトランプ戦略を唯々諾々(いいだくだく)と受け入れるのは論外だろう。こんなときこそ、米国に直言できなければ、国際社会の信認は得られない(p85)
・英国貿易のEU依存度は50%近い・・日本の3.7%とは比べようがない。空港、港湾、水道、電力など社会インフラも含めて外資依存は浸透している。飲食などサービス業は移民労働者に支えられている(p152)
・財務省では公文書改ざんなど問題が噴出している。しかし、官僚機構だけに責任を押し付けるべきではない。「安倍一強政治」にこそ問題の根がある(p331)
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【私の評価】★☆☆☆☆(59点)
目次
序 章 漂流する「主役なき世界」の行方
第1章 米中「新冷戦」が招く世界経済危機
第2章 「新冷戦」がもたらす核の危機
第3章 トランプ大統領で米国の時代は終わる
第4章 「BREXIT」は英国の落日
第5章 混迷のEU、たゆたえども沈まず
第6章 資本主義が危うい
第7章 文明は世界を変えられるか
第8章 分断を超えて ─日本の選択─
著者経歴
岡部直明(おかべ なおあき)・・・ジャーナリスト・武蔵野大学国際総合研究所顧問・フェロー。1947年高知県生まれ。土佐高校卒。69年早稲田大学政治経済学部経済学科卒、日本経
済新聞社入社。東京本社編集局産業部、経済部記者、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員、編集委員、論説副主幹を経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹、コラムニストを歴任。この間、早稲田大学大学院客員教授。現在、大阪経済大学理事。
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