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「炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史」夏井 睦

2019/07/02公開 更新
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炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 (光文社新書)


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 ライザップの食事が糖質制限ということで、手にした一冊です。肥満や糖尿病の治療では、カロリー制限が一般的ですが、夏井医師は炭水化物(糖質)が諸悪の根源と仮説を立てています。ヒトは炭水化物(糖質)を摂取することで低身長化・短命化したという仮説です。この夏井医師の仮説は、ヒトは炭水化物(糖質)に適応していないということです。その状況証拠は次の3つです。


 コメを多食する村が短命というデータがあること。ヒトには血糖値を下げるホルモンがインスリンのみで少ないこと。糖質が虫歯の原因であり、歯が一度しか生え変わらないヒトにとって糖質は危険物質であること。1万年前に定住して麦やコメを作り食べ始めたヒトは、いまだに炭水化物に適応していないというのです。


・『日本の長寿村・短命村』(近藤正二)・・コメを多食する村は短命であり、長寿村はない。野菜や海藻を多食する村はすべて長寿村(p92)


 ヒトが定住し、コメを作り、炭水化物を食べはじめてヒトの人口は増えましたが、肥満の人も増えました。虫歯も増えました。ヒトは永久歯が一度しか生えないので、虫歯の原因である糖や元の炭水化物は危険な物質なのです。糖質はヒト本来の食物ではないという証拠なのでしょう。


 また、ヒトには血糖を下げるホルモンはインスリン1種類しかなく、全身の血管で炎症反応を起こす高血糖という危機的状況に対する備えがお粗末です。ヒトは1万年間の穀物食にもかかわらず、高血糖に適応できていないのです。糖質制限で体調が悪くなったという人はほとんどいないというのも、本来は糖質をヒトは食べていなかったということなのでしょう。


 夏井医師は、糖質制限をすることで農耕を始める前のヒトの食生活に戻ることで健康になるとしています。糖質制限と運動が狩猟民族の血を目覚めさせるのかもしれません。夏井さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・炭水化物(穀物デンプン)は加熱により「食べられないもの→食べ物」に変化したが、デンプンは食物としては質が悪く、加熱デンプンを食べ始めてからヒトが低身長化・短命化した・・(p218)


・糖質を摂取して血糖値が上昇すると、脳の一部が反応してドーパミンが分泌され、側坐核(報酬中枢)を刺激して快感を感じる。これはコカインに対する脳の反応と同じであり、ヒトの脳は、コカイン依存症に陥るように、糖質によって糖質依存の状態に陥ってしまう(p136)


・糖質制限をすると、真夏日でも汗をあまりかかない。また、汗も臭わない・・・糖質を摂取すると、酸っぱい臭いの汗を大量にかく(p226)


・メイプルシロップはサトウカエデの樹液を濃縮したものだが、樹液に含まれるショ糖は3%前後であり、1Lの樹液中で30gとなる。つまり、洗面器一杯(3L前後)の樹液を一気飲みでもしない限り、血糖は上がらないのである(p70)


炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 (光文社新書)
夏井 睦
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【私の評価】★★★★★(90点)


目次

1 糖質制限について
2 糖質制限に関するアンケート
3 前作での未解決問題に決着をつけよう
4 ドーパミンから全生命史・全人類史を読み直してみる
5 糖質セイゲニスト、先史時代のヒトに迫ってみる
6 植物に操られるヒト
7 穀物摂取によるヒトの体の変化



著者経歴

 夏井睦(なつい まこと)・・・1957年秋田県生まれ。「なついキズとやけどのクリニック」院長。東北大学医学部卒業。東北大学医学部附属病院を経て、相澤病院、石岡第一病院、練馬光が丘病院で「傷の治療センター」長。2001年、消毒とガーゼによる治療撲滅をかかげ、インターネットサイト「新しい創傷治療」を開設


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