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【書評】「学校では教えられない歴史講義 満洲事変」倉山 満

2018/06/26公開 更新
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学校では教えられない歴史講義 満洲事変


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー


お人好し日本は日英同盟を破棄

日本が満州、台湾、朝鮮を失い、太平洋戦争に負けたのは、日本人がお人好しでバカだったからと歴史を分析する一冊です。日本の運命は、日英同盟の破棄と満州事変にともなう国連脱退で決まったと指摘しています。


当時、大日本帝国は大英帝国と連携して、非常に安定した国際的な地位を確保していました。その日英同盟を破棄させたかった新興国である米国の工作活動に気付かず、日本はお人好しにも日英同盟を破棄してしまったのです。


イギリスとしては日英同盟は切りたくない・・イギリスは日本に、「絶対に断ってよね」というニュアンスを込めて「アメリカのこともあるし、今後も同盟を続けられるでしょうか。何なら、アメリカも入れて三国同盟などはいかがか」と持ちかけました。これを幣原喜重郎という駐米大使が、「そういうことなら日英の軍事同盟は破棄しましょう」と答えてしまいました・・日本側は気付かず、日英同盟は廃止にひた走ったのです(p79)

リットン・レポートは日本の勝利

満州事変は軍部の独走ではない、というが著者の理解です。当時、中華民国は、各国から不平等条約を押し付けられていました。それに対し、中華民国の人たちはテロ活動で応じていたのです。


中国人は「ボイコットだ!」と叫び、商店や倉庫、住宅街を破壊しました。商業・工業・農業・林業・鉱業びじねすの妨害、反日教科書などの侮日行為を繰り返したのです。中国人らしいですね。


満州についても1905年北京条約で秘密議事録に「満鉄並行線の禁止」と記載されていましたが、張作霖、張学良の父子ギャング(軍閥)が「満鉄包囲鉄道」を事業展開して、満鉄ビジネスを妨害したのです。結局、日本は満州事変によって満州の権益を確保し、満州国という傀儡政権を立てるのです。


満州国を調査した国際連盟のリットン調査団は、満洲国を否定するものの、日本の権益には一定の理解を示したものでした。


ところが、日本は満州国の承認を譲れない一線として、国際連盟を脱退してしまうのです。そうした世論があった事実とそうした世論に媚びた政権が、日本を孤立させていったのです。


無敵の軍隊を持っていた日本は、自分から国際的に孤立し、最後には一国で世界と戦争をして敗戦に向かっていくのです。
著者の表現を借りれば、日本は勝手に孤立していったのです。満州国だけのために世界を敵に回したのが、日本の指導者たちなのです。


大日本帝国は満州国を承認しました・・・一点の妥協もしたくないという世論に媚びたからです・・リットン・レポートは実は日本の勝利・・・満洲国さえ否定して形式上中華民国の主権だけは残してくれれば、あとは日本がすべて好きにしていい、という内容です(p250)

日本人はマスコミ操作に弱い

結局、日本人は昔も今も、世論とそれを操作するマスコミに弱いのだと思いました。端的に言えば、日本人は頭が悪いのです。


当時も中国、朝鮮の排日運動、暴力行為、野党・マスコミのスキャンダルでの倒閣運動、他国のプロパガンダによる国際世論操作と現在と同じことが行われていました。


逆に、世論の操作がうまいのが、中国人です。自分たちの味方が現れるまで工作を続けるのです。「真実はいつかわかる」という態度の日本人とは大違いなのです。これは、現代社会でも同じなのです。


歴史が繰り返されるとすれば、日本の弱体化を狙う勢力の次は日米同盟の破壊あたりが次のターゲットなのでしょう。倉山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・なぜ共産主義が猛威を振るうかというと、共産主義の理論家たちは"ツッコミ"がうまかったからです。共産主義など、大した中身がある訳ではなく、言っていることはデタラメですが、他人を批判する時には、その屁理屈が非常に頼りになりました(p73)


・野党は、与党をひきずり下ろすためなら、官僚機構や軍組織と手を組んででも倒閣運動をやります。これをマスコミが煽ります(p87)


・ソ連は「臆病な熊」です。相手を侵略するときは油断させて素振りも見せない。しかし、戦いたくないときは居丈高(いたけだか)に威嚇します(p150)


・もし我が国がリットン報告書を蹴散らすなどという失礼な真似をせずに日英友好に務めていれば、第二次世界大戦など起こらなかったかもしれません(p201)


・西園寺は後継首班に斎藤実海軍大将を奏薦しました・・・政党総裁ではない斎藤が首班・・・その場は丸く収まるけれでも、根本的な問題をすべて先送りにする、むしろ悪化だけさせるけれども、大半の人が「あの人は、いい人だから」で済ますので、危機を唱える者の正論が通らなくなって破滅する、という人がいます。最近だと村山富市・・(p233)


・内田は、満州事変はすべて自衛行動だと述べ・・「満州国は承認する」「世界を敵に回す覚悟である」「国を焦土にしてでもやり抜く覚悟である」と。残念ながら、大日本帝国は三つとも実行してしまいました・・この答弁は「焦土演説」と名付けられ、もてはやされました(p244)


▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★★(90点)


目次


序 章 満洲事変を正しく知って賢くなろう
第一章 満洲事変 前史1「平和ボケ」日本の幕開け
第二章 満洲事変 前史2 ババをひく日本
第三章 満洲事変 「憲政の常道」の終焉
第四章 満洲事変 その後 不幸になっていく日本と世界



著者経歴


倉山 満(くらやま みつる)・・・1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」やインターネット番組「チャンネルくらら」などで積極的に言論活動を行っている。


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