「ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技」木村 尚敬
2018/02/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(89点)
■コンサルティング会社のタワーズ・ベリン、
アーサー・D・リトルで事業戦略策定を
支援してきた著者の経験談です。
多くの大企業では、
部門間不可侵条約があり、
全社最適の提案はほとんど
出てこないらしい。
なぜなら、それまでに
部門にまたがる全社最適の提案をした人が、
いかに悲惨なことになったかを
知っているからです。
・「なぜ自分がこんなところで正論を述べて飛ばされなければいけないのか」と思って口をつぐんでしまう。部長連中が集まって飲み屋に行けば、「こうしなければダメだ」とみんな平気で口にするのだ。しかし、表立ってそれを言う人はいない(p178)
■なぜならば、人事権を持っている
自分の部門でさえ抵抗する人がいるのに、
いわんや他部門が協力することはない。
それまで多くの提案が実行されず、
何も変わらず、責任者は
更迭されてきました。
なんで自分がそのような
失敗する可能性が高く、
面倒くさいことに
人生を賭けなければならないのか。
頭の良い人なら、
決して手を出さないことなのでしょう。
・面と向かって反対派に立つ人、静かに抵抗してくる人たちを、自己の持つ組織上の権力だけに頼らずにどれだけ巻き込み組織を動かしてきたか、こうした厳しい経験を積んできたかが問われるようになったのだ(p36)
■著者の提案は、表向きは良い数字を
出しつつ、上司にはまずい現状を
報告しておくことです。
このままでは数年後にまずい。
今のうちに手を打ちましょう、
と上司を巻き込むのです。
自分だけがリスクを取らず
上司にも分散するのですね。
木村さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・現状を正しく把握して先を見通し、勇気を持ってそれを上司に伝えること。・・このままいくと、二、三年後は正直厳しいです。今のうちに手を打ったほうがいいです」と言えるかどうかが問われている。弱音を吐くこととは違う。逃げることとも違う。本当に事業を理解しているからこそ、長い時間軸でどうやって生き残るか、勝ち抜いていくかの冷静なパスを、正しいタイミングで出すということだ(p53)
・R&D投資も人材開発投資も、将来のキャッシュフローを生む種である・・R&D投資も人材開発投資も「変動費」であり、これらのコストを削減したとしても事業構造自体が何ら変わるわけではない。本質的に事業構造に手を入れて「稼ぐ力」を強くするためには、固定費に手を入れない限りその効果は見込めない(p24)
・社内にどういう神経回路を張り巡らせるか、上に対しては自分がそこの重要なシナプスになれるかどうか・・定期的にランチを食べながら、「そういえば、あれどうなっているの」と情報をアップデートしておくと、いざというときにワークする(p92)
・厳しく叱咤激励するカード、ほめて相手のやる気を引き出すカード、理詰めで議論を深めるカード、有無を言わさず押し切るカードなど、違う種類のカードを何枚も持っていて、どんな場面でどのカードを切るのか、うまく使い分けることが必要だ(p112)
・「君ならどんなやり方があると思う?」と聞いてみる。あえて部下に考えさせることで、情報を聞き出していくのである。聞き手に徹して何度も質問をくり返すのは、交渉術のテクニックの一つだ(p160)
・非常に単純な話なのですが、施策と結果の因果関係を明確にする、さらにはそれらの責任主体を明確にしておくというのが、事業運営上はきわめて重要ですね(良品計画・木村尚敬)(p218)
・信念が試される瞬間が来たとき、リーダーが普段の言動から少しでも外れたことをすれば、部下の信頼は一瞬にして崩壊する。みんなの気持ちが離れていってしまうのだ(p136)
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【私の評価】★★★★☆(89点)
■目次
プロローグ 「表のスキル」だけでは生き残れない時代
PartI 7つのダークサイド・スキル
その1 思うように上司を操れ
その2 KYなヤツを優先しろ
その3 「使える奴」を手なずけろ
その4 堂々と嫌われろ
その5 煩悩に溺れず、欲に溺れろ
その6 踏み絵から逃げるな
その7 部下に使われて、使いこなせ
PartII ダークサイド・スキルを磨くポイント
その1 いつでも戦える態勢を整える
その2 人を操る3つの力
その3 ブレないリーダーになるために
PartIII ダークサイド・スキル実践編
対談 良品計画・松井忠三氏×IGPI・木村尚敏