「東大教養学部「考える力」の教室」宮澤 正憲
2017/11/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
博報堂のコンサルティング専門家が東京大学で教えている企画・アイデア法です。東大生が、答えのない問題に答えるための方法を学んでいるのです。
そのプロセスは、インプット・調べる→統合する→アウトプットする、ということになります。コンサルタントの中には、まず、仮説を立てて調べるという人もいますが、調べるにあたってはそうした考えも必要なのでしょう。
・コンセプト作りのプロセス・・
インプット 調べる
コンセプト 統合する
アウトプット 形にする(p115)
まず、アイデア作りのスタートは、インプットです。既存のアイデアを含め幅広く情報を集めます。
基本的な情報がなければ、そのアイデアが新規かどうかかさえ判断できないし、斬新なアイデアはアイデアの組み合わせから作られることが多いのです。自分でアイデアを出す前に、人に聞いてみたり、過去の実績を確認するということです。
・アイデアは自分で出さなくてもいいんだ・・「ねえ、何かよい考えやアイデアない?」と聞きまくっていいのです(p25)
しっかりインプットできれば、アイデアも出てきます。これが統合です。インプットするから人間の創造性が活用できるのでしょう。手法としては、チームで付箋に書き出したり、効果的な問いを設定して考えを深めます。
最後にまとめるにあたっては、物語(ストーリー)になっているか、プロトタイプは作れないか、など多角的にチェックするという。標準的なアイデア作成本で、わかりやすいと思いました。
宮澤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・探索型の定性調査は・・・事前に仮説を立てずに、思い込みを排除して、調査を始めることが非常に重要です(p64)
・探索型の調査では、・・たった1つでも「面白そうだな」と思えることが見つかればいいのです(p66)
・調べ方自体も様々な方法があります・・手軽にネット検索・・自問自答する・・図書館で専門書を使う・・専門家にヒアリングする・・オリジナル調査をする(p58)
・入り口の問いの重要性・・新しいサービスを考えてプレゼンしよう・・あるチームは「井の頭線の車両の中で使いにくいところを探してみたら、何か発見があるんじゃないか?」あるチームは・・「井の頭線は、鉄道以外で何か似ているものはないだろうか」という新たな問いを発見しました(p49)
・3種類の情報は必ずわけて書くようにしましょう・・事実・・解釈・・アイデア(p78)
・コンセプトを考えていく時の基本的な方法・・4つの代表的パターン・・長所や魅力点をさらに伸ばす・・短所や欠点を解消し、補強する・・ギャップ(違い)を埋める・・目標に近づける(p126)
・「なぜ平和が大切なのだろうか」「なぜ人は学ぶのか」「なぜ人はお土産を買うのか」「なぜ猫を飼うのがブームなのか」など、なぜを問うことでものごとを深く考えることが可能になります(p146)
・プロトタイピングが重要・・とにかく、実際にやってみる。頭の中で想像できないことが、実際には起こり得る(p184)
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
1時限目 自分でオリジナルな思考をする準備
2時限目 インプット
3時限目 コンセプト
4時限目 アウトプット
5時限目 あなたがぶつかるであろう<5つの壁>
6時限目 リボン思考で人を動かす
著者経歴
宮澤正憲(みやざわ まさのり)・・・東京大学教養学部教養教育高度化機構特任教授。(株)博報堂ブランド・イノベーションデザイン局長。東京大学文学部心理学科卒業。(株)博報堂に入社後、多様な業種の企画立案業務に従事。2001年に米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院(MBA)卒業後、「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」を立上げ、経営戦略、新規事業開発、商品開発、空間開発、組織人材開発、地域活性、社会課題解決など実務コンサルテーションを行っている