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「内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造」水島宏明

2017/09/24公開 更新
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内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造 (朝日新書)


【私の評価】★☆☆☆☆(55点)


要約と感想レビュー

テーマとしてはメディアの捏造、情報操作を批判する内容でした。ところが具体例といえば、2014年の5月3日の憲法記念日に日本テレビの『news every.サタデー』で自民党幹部や共産党、社民党の党首らの主張を紹介しただけでなく、安倍首相と親交が深い小説家・百田尚樹氏の言葉も紹介したことを、改憲派の百田氏の発言を入れるならば、違う立場の発言を入れるのが報道のセオリーだが、それもなかったと批判しているのです。


確かに、百田氏のコメントを紹介したことについてバランスが良くなかったという事実はあるのでしょう。しかし、それをいうならTBSの「サンデーモーニング」の政治ニュースでなんでこんな人たちがコメントしているのか捏造、情報操作と批判しないのか疑問が残るのです。それは著者の記事を読んでみると著者自身が情報操作をしているものが散見され、その理由ははっきりしてくるのです。


・政権党が個々の報道に口をはさむようになるとテレビ報道は政権の大本営発表になるばかりだ。本来、権力が介入してきた場合、ジャーナリズムは毅然として闘わなければならない(p142)


つまり、自らの記事の情報操作の傾向は無視して、相手の弱点を攻撃するところは見習うところがあると思います。例えば、原爆を描いた漫画『はだしのゲン』の図書館からの撤去を表現の自由の制限と批判しています。実際に漫画『はだしのゲン』を読んでみると、前半は原爆の現実を伝えようという内容となっていますが、後半は共産党や日教組の系列の雑誌で連載され、歪曲された内容が多いのです。


つまり、保守派は、「政治的中立性」を理由に共産党などのプロパガンダ工作を防ごうと考えているのに対し、著者のような人を使ってプロパガンダ工作の継続を狙っているのです。著者のような人物が、上智大学の教授になれるというのは、日本はすばらしい国だと思いました。


保守派や公安調査庁のメディアへの取り組みは、著者をはじめとする朝日、TBSなどの工作活動と比べるとまだまだ甘さがあると感じました。今後も著書、記事を確認していきたと思います。水島さん、ありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・番組の冒頭のニュースは、世の中で起きている事象の「一番重要」と思われることから順番に並べるのが報道のセオリー・・いつしかテレビ局はこうしたセオリーを守らなくなった。その理由は簡単で視聴率を取るためである(p52)


・自殺の呼び水となる危険な報道・・藤圭子さんの自殺を伝えたテレビニュースは国際的なルール違反です(p76)


内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造 (朝日新書)
水島宏明
朝日新聞出版
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【私の評価】★☆☆☆☆(55点)


目次

第1章 「その番組」があなたの思考力を奪う
第2章 なぜ報道は大切なことを伝えないのか
第3章 テレビ局が陥ったやらせ・捏造の内幕
第4章 テレビは権力の監視を果たせているか
第5章 弱き者のためのジャーナリズムを
第6章 テレビの希望はどこにある?



著者経歴

水島宏明(みずしま ひろあき)・・・1957年北海道生まれ。東京大学法学部卒業。札幌テレビでドキュメンタリー制作の現場に携わる。日本テレビ系(NNN)のロンドン、ベルリン特派員を歴任後、2003年日本テレビ入社。『NNNドキュメント』ディレクターと『ズームイン.SUPER』解説キャスターを兼務。「ネットカフェ難民」の名づけ親として貧困問題や環境原子力のドキュメンタリーを制作。2007年度芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授


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