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「米中もし戦わば」ピーター ナヴァロ

2017/02/18公開 更新
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米中もし戦わば


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 過去の中国の武力侵攻と情報戦の実情を整理し、アメリカの対中国戦略を考える一冊です。この本が重要なのは、著者がトランプ大統領の政策顧問のピーター ナヴァロであるということです。


 ピーター ナヴァロは過去60年にわたり軍事力行使を繰り返してきた中国とアメリカが今、対峙していることに警鐘を鳴らしています。


・中国の武力侵略は、1950年、・・・チベット及び新疆ウイグル自治区の征服をもって始まった・・1962年、中国はインドに侵攻する・・1974年、中国は、当時弱体化していた南ベトナムから南シナ海の西沙諸島を奪い取った(p36)


 これまで独裁国家中国に対し、日本、アメリカは経済支援することで、平和的な国家に変わるのではないかと期待していました。しかし、現実には中国の経済発展は、中国共産党の独裁を強化し、中国の軍事力増強を推進しています。アメリカの経済と軍事力が衰退する中、中国は周辺諸国を恫喝し、力による現状変更を進めているのです。


・中国を好戦的な独裁国家から平和的でリベラルな民主主義国家に変える力が経済的関与にあると信じ、アメリカとアジア同盟諸国はそれに大金を賭けた・・ところが、中国の場合は、中国共産党の独裁体制が強化されていくように思われるだけでなく、経済的関与が中国の軍事力増強を強力に推進する経済的エンジンを提供してしまっている(p278)


 この本の結論としては、アメリカと同盟国の軍事力強化しか、中国を封じ込めることはできないということです。また、中国とロシアの軍事同盟をできるだけ無力化すること。力でルールを無視する相手には、力で対抗するしかないということでしょうか。ナヴァロさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・強い経済、優れた教育制度、安定した政治体制、豊富な天然資源、優秀な労働力を持っていても軍事力を持たない国は、悪意を持った軍事大国に対して完全に無防備だし、したがってたやすくその餌食になる、ということである(p330)


・ロシアという独裁国家はヨーロッパとの貿易および西側(特にアメリカ)の金融システムに大きく依存している。だが、この相互依存関係は、ソ連崩壊時に失われた領土を取り戻そうとするロシアの度重なる試みを阻止するためにはほとんど役立っていない(p289)


・日本や韓国へ運ばれる石油の大半がまずこの南シナ海を通過しなければならないことを考えれば、南シナ海を制する者は東アジアを制すると言えるかもしれない(p166)


・実は、ロシアの国土面積は中国やアメリカのほぼ二倍である・・ロシアの軍事技術と中国の膨大な兵力が長期的に結びつけば、質量ともに兼ね備えた軍事同盟の成立が予想される(p214)


・国連安全保障理事会の常任理事国として、中国は国連決議に拒否権を発動することができる。残念なことに、中国は過去数十年にわたって、戦争で荒廃した国や紛争地域で天然資源を獲得するための交渉の切り札として拒否権を使用してきた。(p308)


・中国は書籍、映画、雑誌、インターネットなどさまざまな媒体を通じてメディア戦をおこなっているが・・中国中央電視台(CCTV)を国際的宣伝隊に造り替えた・・「嘘も繰り返せば真実になる」の精神である(p132)


・中国政府はビザの発給を利用して、中国政府の方針に批判的すぎたり、政治腐敗や環境汚染、民主化運動や労働者の暴動といった「避けたい話題」を掘り下げすぎるジャーナリストの入国を長年にわかって制限してきた(p365)


▼引用は下記の書籍からです。
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ピーター ナヴァロ
文藝春秋
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【私の評価】★★★★★(90点)


目次

第1部 中国は何を狙っているのか?
第2部 どれだけの軍事力を持っているのか?
第3部 引き金となるのはどこか?
第4部 戦場では何が起きるのか?
第5部 交渉の余地はあるのか?
第6部 力による平和への道



著者経歴

 ピーター・ナヴァロ(Peter Navarro)・・・カリフォルニア大学アーバイン校教授。専門は経済学と公共政策。CNBCの経済番組ではレギュラー出演者としても活躍している。「ビジネス・ウィーク」「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」等、各紙誌にも寄稿している。2017年1月20日、ドナルド・トランプ大統領から指名を受け、新設された国家通商会議のトップに就任した。


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