「南シナ海 中国海洋覇権の野望」ロバート.D・カプラン
2014/12/27公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
米国のアナリストであり国際ジャーナリストは、中国をどう見ているのでしょうか。中国を侵略的な国とは表現していませんが、過去の侵略の事実は十分認識しているようです。中国は、ベトナム、ミャンマー、ウイグル、北朝鮮に兵士を送って侵攻した過去があるのです。
このまま中国が力をつければ、アメリカがヨーロッパを西半球から追い出したように、アメリカをアジアから追い出すのではないか。その最前線が、南シナ海なのです。
・シカゴ大学の政治学者であるジョン・ミアシャイマーは・・「強力になりつつある中国はアメリカをアジアから追い出そうとする可能性が高い。これはアメリカが西半球でヨーロッパの列強を追い出したのと同じ構造だ(p71)
歴史の流れとしては、アメリカが没落し、中国が台頭してくるのか。アジアの歴史に、中国という存在が大きな影響を与えそうです。
カプランさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ベトナムの外交官は、「中国はベトナムを17回侵略しています。アメリカはメキシコにたった一度ですよね。でもメキシコ人がこの侵攻についてどれほど敏感なのはご存知ですよね?(p87)
・中国にとって必須の中東からのエネルギーのほとんどを、狭いマラッカ海峡を通過して運んでこなければならない(p27)
・南シナ海ではすでのほとんどの岩礁の占領は終わっているが、それらの「軍営地化」は現在も進行中だ。中国は12か所、台湾は1か所、ベトナムは21か所、マレーシアは5か所、そしてフィリピンは9か所をそれぞれ占領している(p30)
・イギリスの場合は18世紀後半からの産業革命の時期に、国民一人当たりの年収が二倍になるまでほぼ60年かかっている。アメリカの場合は、南北戦争後に同じく二倍になるまで50年かかった。ところが中国は、二十世紀後半の発展開始から最初の10年だけで、そえが二倍になっている(p57)
・中国は南シナ海において「疑問の余地のない主権」を主張している(p68)
・中国の専門家たちは、他の競合する国々が南シナ海ですでに何千もの油田を掘削しており、それらは中国自身が持っている海底油田の生産量をすでに数倍も上回っていることについて不満を漏らしている(p68)
・彼ら(ベトナム)が不満に感じていたのは、1990年代に北京が南シナ海のスプラトリー諸島の一部であるミスチーフ岩礁のフィリピンの領有権に挑戦していた際に、アメリカが介入をしなかったという事実のほうだった(p85)
・当時(2010年)のヒラリー・クリントン米国務長官は、アメリカが南シナ海に「国益」を持っており、アメリカは南シナ海の領土紛争の解決のための多極的な取り組みに参加する用意があり、領海の主張は陸の形を元にしたものでなければならないと主張している(p95)
講談社
売り上げランキング: 26,739
【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
プロローグ チャンパ遺跡で考えたこと
第1章 人道・平和主義者のジレンマ
第2章 中国のカリブ海
第3章 ベトナムの行く末
第4章 文明入り混じるマレーシア
第5章 「よい独裁者」がいる都市国家シンガポール
第6章 植民地時代の重荷に苦しむフィリピン
第7章 アジアのベルリン・台湾
第8章 北京の思惑
エピローグ ボルネオ島のスラム街
著者経歴
ロバート.D・カプラン(Robert D. Kaplan)・・・世界的なインテリジェンス企業、米ストラトフォーのチーフ地政学アナリストの他、ワシントンのシンクタンク「新米国安全保障センター」の上級研究員や、高級誌である『アトランティック』誌の外交・安全保障担当記者を長年務める、フリーランスの国際ジャーナリスト。米政権ブレーンとして国防総省・防衛政策協議会のアドバイザーも歴任。
読んでいただきありがとうございました!
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングへ
コメントする