「選択の科学」シーナ・アイエンガー
2014/05/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
選択肢は3つまで
人生とは、「選択」の連続です。まず、人は「選択」を求められたときにどうした反応をするのでしょうか。その「選択」は、文化や性格によって変わります。
「選択」できることによってワクワクする人もいれば、「選択」を求められて困惑する人もいる。例えば、現在は恋愛結婚がほとんどですが、昔は、親に結婚相手を決められていた時代もあったのです。慣れていない人が、「選択」を求められても困惑することもあるのです。
それだけ、「選択」は難しくたいへんなことなのだと思います。仕事でよく言われるのは、資料は簡潔に。選択肢は3つまで。だれもが、「選択」に苦労しているということなのだと思います。
・従業員に権限を委譲しようとして・・・なぜ上司が、管理するという自分の仕事を、部下に押しつけるのだろうと、いぶかしく思ったのだ(p80)
「選択」を制限されても不幸ではない
面白かったところは、「選択」を制限されても不幸ではないということです。逆に決まっている方が、その枠の中で努力するのでやりやすいというのです。制限があるから、やる気が強化される場合もあるのです。これは、毎日が日曜日でいいなと思ったら、何をしたらいいのかわからなくなってしまったという定年退職した人のようなものです。
この本では実例として、原理主義宗教の信徒が、他の信徒に比べて、宗教により大きな希望を持ち、逆境に楽観的に向き合い、鬱病の割合も低かったこと。逆に無神論者のほうが悲観的で落ち込むことが多かった、というデータを示しています。
また、退職金積立制度では選べるファンド数が増えるにつれて選ぶ人が減っているという、ファンド数が12本のプランでは70%で、59本のプランでは60%程度ということで、少ない選択肢を望んでいる人のほうが多いのです。データによる検証を提示してくれるのが、こうした大学本のよいところだと思いました。
こうした授業なら受けたいですね。アイエンガーさん良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・キエフの教授アナスタシアは、資本主義への移行が、・・・「わたしたちは機会均等という特権をなくしてしまったようね。ソビエト連邦では、だれもが平等な機会を与えられていたから今よりむしろ選択肢が多かったような気がする(p99)
・年収10万ドル超の人たちは、その半分の年収しかない人たちと、総じて幸福度は変わらなかったのだ。(p167)
・コネチカット州の高齢者介護施設・・・「選択権なし」の集団では、入居者の70%以上に身体的な健康状態の悪化が見られた・・・「選択権あり」の集団では、90%以上の入居者の健康状態が改善した(p37)
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
オリエンテーション 私が「選択」を研究テーマにした理由
第1講 選択は本能である
第2講 集団のためか、個人のためか
第3講 「強制」された選択
第4講 選択を左右するもの
第5講 選択は創られる
第6講 豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
第7講 選択の代償
最終講 選択と偶然と運命の三元連立方程式
著者経歴
シーナ・アイエンガー・・・1969年、カナダのトロントで生まれる。両親は、インドのデリーからの移民で、シーク教徒。1972年にアメリカに移住。3歳の時、眼の疾患を診断され、高校にあがるころには全盲になる。家庭では、シーク教徒の厳格なコミュニティが反映され、両親が、着るものから結婚相手まで、すべて宗教や慣習できめてきたのをみてきた。そうした中、アメリカの公立学校で「選択」こそアメリカの力であることを繰り返し教えられることになり、大学に進学してのち、研究テーマにすることを思い立つ。スタンフォード大学で社会心理学の博士号を取得。現在、ニューヨークのコロンビア大学ビジネススクール教授
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